著者
水野 邦夫
出版者
聖泉大学
雑誌
聖泉論叢 (ISSN:13434365)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.35-52, 2006

Lee(1977)は恋愛の色彩理論を提唱し, 松井ら(1990)はそれに基づいた恋愛傾向測定尺度の日本語版を作成しているが, 本研究では, より簡便で回答しやすい尺度の作成を試み, その妥当性および信頼性を検討するとともに, 他の特性などとの関連性や, 男女や恋人の有無によって, どのような恋愛傾向の違いがみられるかを調べることを目的とした。大学生および専門学校生466名(男子247名, 女子217名, 不明2名)を対象に, この尺度を含む質問紙調査を実施し, 分析を行ったところ, 尺度には充分な妥当性や信頼性は認められなかったが, さまざまな恋愛傾向を測定しうるものであることが確認された。また, ストルゲを除く尺度は協調的なパーソナリティ特性との問に有意な相関関係がみられた。さらに, 恋愛傾向の男女差や恋人の有無による差を調べたところ, 男子はアガペ(献身的な愛)やエロス(耽美的な愛)が高いのに対し, 女子はプラグマ(実利的な愛)が高く, また, 恋人がいる群はストルゲ(友愛的な愛)が低く, 恋人がいない群ではマニアとエロスが低く, 片想い群ではアガペが高いなどの結果が得られた。
著者
山崎 真理子 水野 邦夫 青山 謙二郎
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.173-180, 2007

The modeling effect on eating means that the more models eat the more participants eat. Herman, Polivy, & Roth (2003) proposed that participants make the amount of food they consume conform to the consumption of others in order to avoid being seen by others as eating excessively. In this study, in order to create a situation in which participants believe no one can know how much they eat, we did not use the usual model. Instead, feigned leftover food was shown to participants before the tasting test. This leftover food (in amounts large or small) was expected to give participants information on how much other participants had eaten. In one condition, participants were misled to believe that the experimenter could not find out how much food the participants had consumed; in another condition, they were not misled. In the former condition, regardless of how much others eat, participants should eat as much as they like, believing that no one can learn of the amount, they consume. Contrary to the prediction, the modeling effect arose in both conditions. These results indicate that the modeling effect cannot be explained entirely by self-presentational concern regarding others.
著者
水野 邦夫
出版者
聖泉大学
雑誌
聖泉論叢 (ISSN:13434365)
巻号頁・発行日
no.10, pp.81-92, 2002
著者
水野 邦夫 ミズノ クニオ Kunio MIDZUNO
雑誌
聖泉論叢
巻号頁・発行日
no.14, pp.35-52, 2006

Lee(1977)は恋愛の色彩理論を提唱し, 松井ら(1990)はそれに基づいた恋愛傾向測定尺度の日本語版を作成しているが, 本研究では, より簡便で回答しやすい尺度の作成を試み, その妥当性および信頼性を検討するとともに, 他の特性などとの関連性や, 男女や恋人の有無によって, どのような恋愛傾向の違いがみられるかを調べることを目的とした。大学生および専門学校生466名(男子247名, 女子217名, 不明2名)を対象に, この尺度を含む質問紙調査を実施し, 分析を行ったところ, 尺度には充分な妥当性や信頼性は認められなかったが, さまざまな恋愛傾向を測定しうるものであることが確認された。また, ストルゲを除く尺度は協調的なパーソナリティ特性との問に有意な相関関係がみられた。さらに, 恋愛傾向の男女差や恋人の有無による差を調べたところ, 男子はアガペ(献身的な愛)やエロス(耽美的な愛)が高いのに対し, 女子はプラグマ(実利的な愛)が高く, また, 恋人がいる群はストルゲ(友愛的な愛)が低く, 恋人がいない群ではマニアとエロスが低く, 片想い群ではアガペが高いなどの結果が得られた。
著者
水野 邦夫
出版者
聖泉大学
雑誌
聖泉論叢 (ISSN:13434365)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.53-59, 2006

本研究は, Midzuno(2004)のモデルに従い, 良好な対人関係を形成・維持する際に, どのような社会的スキルが関連するかを検討することを目的とした。大学生および専門学校生188名(男子99名, 女子89名)に質問紙調査を実施し, 思い浮かべた1名の人物について, そのパーソナリティ特性(外向性, 協調性), さまざまな社会的スキル(関係開始, 自己主張, 関係維持)およびその人物との関係性(関係の良好度)を回答させた。モデルに従ってパス解析を行ったところ, 関係維持スキルは良好な関係性と正の関連を持つのに対して, 自己主張や関係開始スキルは関連しないかむしろ負の関連を持つことが示された。パスを整理し, 再度分析を行ったところ, 社会的スキルは外向性を背景とした関係開始・自己主張スキルと, 協調性を背景とした関係維持スキルに分かれ, しかも, 関係開始・自己主張スキル(および外向性)は良好な対人関係に直接関連しないことが示された。これらの結果をもとに, 関係の開始から維持にかけて, 表現性スキルと感受性・制御スキルとの間に機能的な役割の交代が生じている可能性が示唆された。
著者
水野 邦夫
出版者
聖泉大学
雑誌
聖泉論叢 (ISSN:13434365)
巻号頁・発行日
no.11, pp.13-25, 2003

本研究では、対人場面において他者から好意的な感情を得るとき、代表的な性格特性のひとつである外向性(extroversion)がどのように寄与するかを、他の性格特性との関連において調べることを目的とした。97名の学生にアンケート調査を行い、各人の友人を1名想起させたうえで、その人物の性格特性の認知やその人物への諸感情などを評定させた。その結果、好意的な感惰と最も関連する性格特性は協調性(agreeableness)であり、外向性はこれらの性格特性要因を統制した場合、好意的感情の生起にほとんど関係しないことが明らかとなり、「外向性は好まれる性格である」とは見かけ上の認知に過ぎないことが示唆された。また、外向性をさまざまな側面から検討したところ、「友好的外向」という成分が協調性や好意的感情と関連を持つことが示され、これが見かけ上の認知を生む原因であることが考察された。