- 著者
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宮沢 厚雄
- 出版者
- 桜花学園大学
- 雑誌
- 桜花学園大学研究紀要 (ISSN:13447459)
- 巻号頁・発行日
- vol.3, pp.169-178, 2001-03-31
図書館法は五十年ぶりに改正され,第17条の無料原則にも「解釈」が加えられた。すなわちネットワーク情報資源の提供など,高度・多様化した図書館サービスについての有償化が容認されたのである。その根拠には「費用構造」「市場の失敗」「所得再配分」「費用-便益分析」「外部経済性」という公共経済学の理論が適用されるとともに,国や地方自治体の財政逼迫にさいしても図書館サービスの無料供給の優先順位は低く見積もられた。しかしながら公共経済学の拠って立つところは市場経済であり,図書館サービスに公共性があるか否かを決定するものではない。図書館サービスの公共性は歴史的に培われた理念であり,むしろネットワーク情報資源の提供などを無料原則のもとで提供できるような環境整備を論議すべきものではないだろうか。