著者
三宅 勝 小野 斉 大塚 信明 中川 忠昭 千葉 一夫 渡辺 順一 加納 隆
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告. 第I部 (ISSN:0470925X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.394-414, 1967-03-31

著者等は牛舎施設,乳牛管理,牛舎内気象状況と繁殖成績ならびに疾病発生との関連性を究明するため,十勝地方において多頭数飼育を実施している上芽室生産組合共同牛舎,中札内村新生共同畜舎および帯広畜産大学付属第1農場牛舎において実態調査を行なった。調査期間は昭和39年3月から40年2月までの1年間で,これを第I期(春,4月),第II期(夏,7月),第III期(秋,10月),第IV期(冬,1月)に分け,それぞれの期間中1週間ずつ牛舎にとまりこみで上述の調査を行なった結果,次のような成績を得た。1.牛舎施設,乳牛管理,飼養および飲料水について換気施設の不完全,手入れの不充分および運動場の狭隘のほか,上芽室にあっては搾乳前2,3搾りを捨てないこと,ミルカーのかけ過ぎ,および飲料水はアンモニア性窒素が多く飲料不適であったこと,中札内にあっては敷わらの不足,削蹄の不完全,運動場に汚水の潴溜等の欠陥が指摘された。2.牛舎内気象状況(1)気温……すべての地区とも最高は7月,午後0〜6時のもので上芽室では22.7±4.1℃,中札内では22.2±4.0℃,畜大では26.3±3.1℃であった。また最低は1月で,上芽室では午前6〜12時の2.2±4.0℃,中札内では午後0〜6時の4.7±3.0℃,畜大では午後6〜12時の1.0±3.2℃であった。3地区とも牛舎内温度の多くは至適温度内にあった。(2)湿度……最高は上芽室,中札内では1月,午前0〜6時で,それぞれ94.2±2.6%,94.0±6.0%であったが,畜大では4月,午前6〜12時の90.0±7.4%であった。なお前2者では冬期間夕方より翌朝にかけ湿度は95%を越える日が多かった。最低は上芽室,中札内では4月,午後0〜6時で,それぞれ55.4±1.4%,61.0±13.9%であり,畜大では10月,午後0〜6時の62±12.9%であった。(3)乾カタ度……最高は上芽室では4月,午前9時の11.71±2.84,中札内,畜大では1月で,それぞれ午前9時の11.77±2.69,午前3時の12.9±1.40であり,最低は上芽室では7月,午後9時の7.31±1.60,中札内,畜大では10月で,それぞれ午後9時の7.07±1.85,午前9時の9.4±0.36であった。(4)炭酸ガス量……最高は上芽室では4月,午前3時の0.16±0.024%,中札内,畜大では1月で,それぞれ午後9時の0.26±0.106%,午前3時の0.12±0.095%であり,最低は上芽室,中札内では7月,午後9時で,それぞれ0.06±0.001%,0.05±0.017%で,畜大では10月,午前3時の0.03±0.004%であった。3.繁殖成績について1〜4ヵ年間の上芽室,中札内および畜大における平均受胎率はそれぞれ96.4,88.3,90.3%,受胎効果は1.55,207,1.71回,受胎牛の平均空胎期間は3.69,4.33,6.12ヵ月であった。4.疾病について上芽室,中札内では趾間腐爛,乳房炎の発生が多かった,このほか上芽室では二等乳の発生が多く,12月には全産乳量の30%におよんだ。なお7月行なった分房別異常乳調査では,上芽室で,13.9%,中札内では11.9%に発生が見られた。以上のことから上芽室,中札内の多頭数飼育牛舎にあっては,繁殖成績は良好で仔積の生産は順調であるが,乳房炎,異常乳,二等乳および趾間腐爛の発生が多く経営を困難にさせている。これらの疾病発生は牛舎内の換気不良,高温度,乳房管理あるいは削蹄不良等に原因しているように思われる。

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こんな論文どうですか? 乳牛の多頭数飼育において牛舎の施設,気象状況,管理等と繁殖ならびに疾病発生との関連性に関する調査(三宅 勝ほか),1967 http://t.co/vONJcNPELD
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