著者
初鹿 静江
出版者
順天堂大学
雑誌
医療看護研究 (ISSN:13498630)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.22-28, 2007-03
被引用文献数
2

2006年4月に改正された介護保険制度では,認知症高齢者グループホームが提供するサービスの中に介護予防サービスが含まれた。これにより,グループホームは,認知症の要介護状態の予防に尽力することが期待されている。認知症の要介護度の悪化予防という点では,ここ数年,食事支援が認知症症状を緩和するという報告が出ていることから,東京都内で,食べ物の希望の尊重を含めた食事支援に力を入れるグループホームが漸増している。本研究では,調査者がグループホームを訪問し,実際に行われている食事支援を観察し,健康維持に重要な食事の内容を含めた認知症高齢者の食事作り行為や言動,情緒等の観察結果から,食生活支援が認知症の症状の緩和・安定にどのように寄与しているかを分析した。結果は,軽症の認知症高齢者には,食事支援行為が症状緩和・安定に有効な場合が多いこと,進行した認知症では,少数の介護者では希望を尊重した適切な食生活支援ができず,精神状態を不安定にさせている恐れがあること等が明確となった。加えて,希望重視の食生活支援は栄養確保の面で問題があり,グループホームの食生活支援は,精神面および栄養面にも配慮する必要性を言及した。

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