著者
山口 堯二
出版者
佛教大学
雑誌
文学部論集 (ISSN:09189416)
巻号頁・発行日
vol.85, pp.29-42, 2001-03-01

打消推量の助動詞「まい」は、室町期に形成され、当初、同じ打消推量の助動詞「まじ>まじい」「じ」と共存したが、やがてそれらも「まい」によって統合された。その統合の役割を担った「まい」の通時的変化を、他の推量の助動詞との対応性、および、推量体系の通時的変化と絡めて、意義別にたどる試みである。室町期に見られた「打消推定」や、「不適当」「不当」などの観念的意義はかなり急速に失われ、近世を通じて維持されたのは「打消推量」「打消意志」「禁止」の三義と概言できる。明治大正期頃を境に、打消と推量とに別語を併用する「ないだらう」などの言い方との交替もめだちはじめ、次第に弱体化する様子にも言及する。

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