著者
山口 堯二
出版者
佛教大学
雑誌
文学部論集 (ISSN:09189416)
巻号頁・発行日
vol.87, pp.29-42, 2003-03-01

年齢を表す名詞には古来「とし」と「よはひ」がある。両語の複合語「としよばひ」からは「としうばひ」「としばひ」「としばへ」なども生じた。年齢の捉え方に、共起する語の違いを含めて、定数年齢・概数年齢・年齢階層・特定年齢階層を区別して、年齢を表す名詞の通時態を一望すれば、古代語の「とし」はまず定数年齢・概数年齢の表示に優れたが、年齢階層の表示に長じた「よはひ」の力を吸収しつつ、年齢を表す名調の代表格に成長する様子がうかがえる。室町期ごろから、「とし」は複合語の前項としても特に造語力を発揮し、従来漢語にしかなった、一語で特定年齢階層を表す和語の語構成にも寄与している。

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