- 著者
 
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             持留 浩二
             
          
 
          
          
          - 出版者
 
          - 佛教大学
 
          
          
          - 雑誌
 
          - 文学部論集 (ISSN:09189416)
 
          
          
          - 巻号頁・発行日
 
          - vol.89, pp.103-113, 2005-03-01 
 
          
          
          
        
        
        
        サリンジャーの短編小説「テデイ」に秘められたサブ・テクストとは一体どういうものなのかということを考察している。サリンジャーはグラス・サーガを書き始めるまでは比較的自伝的色彩の濃い作品を書いていたが、グラス・サーガ以降の作品は冗漫な作品が多く、その作品群のメッセージはなかなか読み取れない。偏執的なまでにプライパシーを大切にするサリンジャーはグラス・サーガを書くことによってそれまでの自伝的色彩の強い作品群を隠蔽しようとしたのではないかというのが本論文の趣旨である。「テデイ」の主人公はグラス・サーガの中心人物シーモアのプロトタイプといえる人物で、彼を通じてサリンジャーは前期シーモアを後期シーモアの創造によって隠蔽しようとするのである。