著者
平井 悠介
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.530-541, 2007-12

1990年代のアメリカ合衆国において、リベラル派の政治哲学者の間でシティズンシップ概念が注目を集めている。本稿の目的は、市民のアイデンティティや行為のあり方に焦点を当てる90年代のシティズンシップ論および市民教育論の展開の意義を、リベラル派の市民教育理論における「討議的転回」との関連のもと探究することである。探究に際し、本稿では討議的転回後のリベラル派の市民教育理論にみられる二つの立場からの議論(<討議を民主主義的意思決定の手段とみなす議論>と<討議を市民教育の手段とみなす議論>)の分析を行う。前者の立場のマセードおよびゴールストンの議論と、後者の立場のカランとガットマンの議論とを対比し、後者の議論で重視されている、批判的かつ自律的に思考する能力の育成と相互尊重という市民的徳の涵養が、人々のアイデンティティの多様性を尊重する国家的統合にとって必要とされることを示していく。

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