著者
高岡 朋子
出版者
北翔大学
雑誌
北海道女子大学短期大学部研究紀要 (ISSN:02890518)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.97-108, 1998

当初男性の衣服であったパンツやジーンズが,女性に着用されるようになった社会的背景を考慮し,このボトムに内在している意識変革,社会的自立意識に視点を置き,ボトムのイメージ調査,日常着用しているボトムの種類と着用気分,職業におけるライフスタイル,およびこれらと平等主義的態度スケールへの反応との関連を検討した。結果いくつかの知見を得ることが出来た。1)4種類のボトムのイメージの平均評点から,キュロットスカートはジーンズと似かよった動きを示し,スカートという名称であるがパンツ類として捉えられて,ジーンズは4種類の中で一番好まれていた。それぞれのボトムごとに因子分析を行った結果,「嗜好性」「活動性」「消極性」の共通因子が抽出されたが,タイトスカートのみに「緊張性」因子が抽出されタイトスカートの特性が明らかになった。2)日常着用しているボトムの種類によって,イメージに違いがあるかを検討した結果,日頃着用しているボトムは,そのボトムの特性をより多く感じ,肯定的なイメージで捉える傾向にあり,着用不慣れなボトムについては,否定的なイメージで捉える傾向にあった。服種のイメージは,日常着用しているか否かにより左右されることが明らかになった。3)フレアスカートとジーンズの着用気分から,服種のイメージと着用気分は相関関係にあり,日頃着用する割合が多い服種については,イメージ同様その服種の特性を多く感じる傾向にあり,着用不慣れな服種については,否定的な要素の着用気分になることが明らかになった。4)仕事にたいする姿勢とボトムの着用率との関連では,回答率が高い「再就職型」はパンツとスカートの半々の着用が多く,次に多い「キャリア志向型」はパンツ,ジーンズの着用が多く,この「キャリア志向型」は4年制大学生に多く認められた。5)女子学生の平等主義的態度は平均得点が61.692とやや低めの結果であり,短大生と4大生との比較では高学歴の4大生の方が平等主義的態度が高い。仕事姿勢との関連では「キャリア志向型」が,ボトムとの関連ではパンツ,ジーンズの着用者が平等主義的態度が高いことがわかった。6)パンツ,ジーンズ着用者で,キャリア志向型と再就職型の平等主義的態度を検討した結果,キャリア志向型の方が平等主義的態度をもっていた。このことから,キャリア志向で平等主義的態度が高い4大生の被服行動を検討した結果,キャリア志向型の人達は平等主義的態度が高く,日常パンツ,ジーンズを着用する傾向にあることが明確になった。

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こんな論文どうですか? 女子学生の服装と男女平等主義的性役割態度との関係(高岡朋子),1998 http://id.CiNii.jp/br9NL

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