著者
柴田 眞美
出版者
文化学園大学
雑誌
文化女子大学紀要. 服装学・造形学研究 (ISSN:13461869)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.119-127, 2008-01

前報で美術解剖学的分析を行なった,わが国鎌倉時代ごろの作とされる,「騎馬図巻」について,作家の目で観察し,記述するという,研究ノートとしての試みをした。前報においては,馬学的,美術解剖学的に分析したのであった。すなわち,その視点は,分析的,客観的を旨としていたのである。しかし,本,研究ノートにおいては,そのような,いわば学術的たらんとする時にどうしても抱いていた,なにか,枷のかかったような状態から,自らを解放し,「絵画の制作者」の視点で,自由に,この作例について語ってみたかった。「騎馬図巻」の中から,古今東西に描かれた,多くの作例によく登場するポーズである三場面を抽出し,類似ポーズの他作例,他作風のものと比較した。このような試みは,制作を第一義とする者にとっては,非常に呼吸のしやすい心地であった。しかし同時に,姿勢,肉付け,アクセントなどについて語るとき,どうしてもその「強弱緩急を云々」となり,歯がゆさも残った。今後,実際に筆をとって,模写などをし,その中で,肌で得た感触を記述していきたい。

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