- 著者
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大田原 俊輔
- 出版者
- 全国障害者問題研究会
- 雑誌
- 障害者問題研究 (ISSN:03884155)
- 巻号頁・発行日
- vol.36, no.1, pp.48-54, 2008-05
平成17年(2005)年10月12日に成立した鳥取県人権条例に対しては、その内容をめぐって条例成立直後から批判的意見が続出していた。そのため開かれた同年12月と平成18(2006)年1月の2回に亘る有識者による懇話会では、「抜本的見直し相当」の意見が出され、また県弁護士会からは総会決議により同条例の施行について一切協力できないという厳しい意見が出された。このような事情により、同条例は平成18(2006)年2月の議会決定で無期限の施行凍結となっている。上記施行凍結とともに「人権救済条例見直し検討委員会」が設置されたが、同委員会は、平成18(2006)年5月2日に第1回会議を開催して以降、1年半余りの間に計18回の会議を開いて意見をとりまとめ、平成19(2007)年11月2日に知事宛の意見書を出して解散した。 本稿では、当職が鳥取県弁護士会の人権擁護委員長として上記懇話会に出席するとともに県弁護士会の意見形成に関与し、また、見直し検討委員会の会長代行として同条例の立法事実の確認と法的整理をリードしてきた立場から、同条例の問題点と課題について論じるものである。