著者
大田原 俊輔 石田 喬士 岡 鎮次 山麿 康子 井上 英雄
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.270-280, 1976-07-01 (Released:2011-05-24)
参考文献数
38

脳波上suppression-burstを示し, 乳児期早期 (生後3ヵ月以内) 発症, 頻回のtonic spasms, 著しい難治性と重篤な予後を特徴とする8症例につき臨床的脳波学的に検討した結果をのべこれをthe early-infantile epileptic encephalopathy with suppression-burstと名づけ, 一臨床単位として提示した。これは年齢依存性てんかん性脳症の最幼弱型と見做される.1) 症例は男児5例, 女児3例の計8例であるが, 内6例は生後1ヵ月以内に発症していた.2) 発作型は短いtonic spasmsで, シリーズ形成をするもの, しからざるもの共にみとめられ, 覚醒時, 睡眠時を問わず出現した.3) 基礎疾患ではAicardi症候群1例, 孔脳症2例, 亜急性広汎性脳症1例を含み多彩であった.4) 脳波では全例, 覚醒, 睡眠時を問わず, 顕著なsuppression-burstをみとめるのが特徴であり, 発作時にはdesynchronizationを示した.5) 追跡的研究でsuppression-burstは生後3ヵ月以後不明瞭となり次第に消退する.経過中5例においてhypsarhythmiaを発現し, その中4例ではWest症候群への変容がみとめられた.6) 3年におよぶ追跡調査では, 極めて難治で, 4例は早期に死亡し, 残り4例は重症心身障害児であった.7) Burst-burst間隔を計測し, 正常新生児にみられるtracé alternantのそれと比較することによって本症候群の病態生理を推測した.
著者
大田原 俊輔
出版者
全国障害者問題研究会
雑誌
障害者問題研究 (ISSN:03884155)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.48-54, 2008-05

平成17年(2005)年10月12日に成立した鳥取県人権条例に対しては、その内容をめぐって条例成立直後から批判的意見が続出していた。そのため開かれた同年12月と平成18(2006)年1月の2回に亘る有識者による懇話会では、「抜本的見直し相当」の意見が出され、また県弁護士会からは総会決議により同条例の施行について一切協力できないという厳しい意見が出された。このような事情により、同条例は平成18(2006)年2月の議会決定で無期限の施行凍結となっている。上記施行凍結とともに「人権救済条例見直し検討委員会」が設置されたが、同委員会は、平成18(2006)年5月2日に第1回会議を開催して以降、1年半余りの間に計18回の会議を開いて意見をとりまとめ、平成19(2007)年11月2日に知事宛の意見書を出して解散した。 本稿では、当職が鳥取県弁護士会の人権擁護委員長として上記懇話会に出席するとともに県弁護士会の意見形成に関与し、また、見直し検討委員会の会長代行として同条例の立法事実の確認と法的整理をリードしてきた立場から、同条例の問題点と課題について論じるものである。
著者
大田原 俊輔
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.411-413, 1971-07-01 (Released:2011-05-24)
参考文献数
13
著者
田中 司 真田 敏 大塚 頌子 大田原 俊輔
出版者
一般社団法人 日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究 (ISSN:09120890)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.147-154, 1984-09-30 (Released:2011-01-25)
参考文献数
20

急性脳症後, 高度の知能障害とてんかんを発現した3歳5ヵ月の男児に見られた極めて特異な反射てんかんの症例を報告した。はじめは自発性発作のみであったが, 経過中特定の言葉を聞くことにより同様の発作が誘発されるようになった。誘因となる言葉は初期は “テレビ” のみであったが, 次第に “テープ”, “テ”, さらに種々の “テ” のつく言葉でも誘発されるようになった。臨床発作型はすべて脱力発作で, 発作時脳波はdesynchronizationを示した。なお刺激からdesynchronizationの出現までの潜時は約500msec.で, 発作発現には脳幹のみならず大脳皮質も関与していることが示唆された。誘発性発作に対してはconditioning treatmentが有効であった。