- 著者
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木村 容子
清水 悟
田中 彰
鈴木 まゆみ
杵渕 彰
稲木 一元
佐藤 弘
- 出版者
- 社団法人日本東洋医学会
- 雑誌
- 日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
- 巻号頁・発行日
- vol.59, no.2, pp.265-271, 2008-03-20
- 参考文献数
- 19
- 被引用文献数
-
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抑肝散およびその加味方の有効な頭痛の患者タイプを検討した。対象は,随証治療にて抑肝散およびその加味方を投与した頭痛の患者45人(男性6人,女性39人,中央値38歳,範囲25-68歳,片頭痛34例,緊張型頭痛6例,混合型頭痛5例)とした。年齢,性別,身長,体重と,初診時に認められた体質傾向と随伴症状からなる31項目を説明変数とし,頭痛改善の有無を目的変数として,多次元クロス表分析により最適な説明変数とその組み合わせ検討した。この結果,単変量解析では,抑肝散による頭痛改善に有効な情報は,「眼痛」,「背中の張り」,「目の疲れ」,「イライラ」の順であった。多変量解析では,「眼痛」,「イライラ」,「背中の張り」の組み合わせが,抑肝散による頭痛改善を予測する一番よいモデルとなった。古典的考察を加え,抑肝散およびその加味方は「肝」と関連する頭痛において治療効果を期待できると考えられた。また,抑肝散およびその加味方は,呉茱黄萸で軽快するもののストレスによって再び増悪する頭痛にも有効で,ストレスなどの頭痛発作の誘因や増悪因子を抑えるはたらきがあると推察された。従来,抑肝散には緊張興奮型などの腹証が重要視されてきたが,本研究では興味深いことに,むしろ背部所見に頭痛改善と強い相関を認めた。これまで抑肝散に関する背部所見の有用性について述べた報告はなく,今後は抑肝散証では背診も重要となることが示唆された。