著者
荒井 英治郎
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.34-45[含 英語文要旨], 2008-03

現代日本の構造改革の要諦は、規制緩和を軸とした分権と選択であり、教育分野もその例外ではない。特に国・地方公共団体・学校法人といった従来の学校設置主体の枠組みを拡大し、公教育を担う教育主体に新たに民間組織(株式会社・NPO法人)を認める「教育の供給主体の多元化」は、公教育概念の変容や戦後形成された公教育制度の再編を迫るものである。本稿では、内閣府設置の諸会議や文科省の論理の相違、議論の争点、採用された政策手法に着目し政策過程分析を行った。「教育の供給主体の多元化」の政策過程では、従来所管庁で採用されてきた縦割り型の政策形成や中教審等を駆使した合意形成の慣行、「教育下位政府」内での議論よりも、内閣府の諸方針が優先されることとなり、内閣主導の「領域間調整」が行われた。中央省庁等改革以降の内閣機能の強化等の影響を受けて、中央政府における教育政策決定構造も例外なく変容を遂げていることを看取できる。

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