- 著者
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大西 拓一郎
- 出版者
- 日本語学会
- 雑誌
- 日本語の研究 (ISSN:13495119)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, no.1, pp.69-81, 2008-01-01
方言に関する主要な資料として,記述文献,辞典,分布図,談話資料,音声資料,フィールドワーク等を対象にそれぞれの性質を概観する。方言自体が古典化しようとしている現在において,その資料化手続きや資料性を問い直すことは,方言学という学問の基盤を検証する上で重要な過程にほかならない。そのことを通して浮き彫りになるのは,方言という言語情報に特有の非記録性という性格であり,同時に考えるべきことは情報元の限定性の問題である。方言学の研究資料を検討することで,方言学の抱える問題点が見えると同時に,進むべき方向も見えてくる。そのような検討とともに実行される資料の作成は,常に方言学に課せられた責務でもある。