著者
坂本 朋美 芝 正己 川村 誠
出版者
森林利用学会
雑誌
森林利用学会誌 (ISSN:13423134)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.3-10, 2008-04-15

地域森林管理の担い手としての森林組合に期待が高まる中,日吉町森林組合における施業の団地化が注目を集めており,全国から研修が相次いでいる。本研究は,日吉型団地化施業の導入における現状と課題を明らかにし,他の森林組合への普及可能性を考察した。日吉町森林組合で研修を行った9森林組合に対し,日吉型団地化施業の導入状況と導入上の課題,導入に伴う変化を聞き取り調査した。その結果,5組合がほぼ同様の事業に着手,1組合は実践に向け準備中,3組合が導入を見送っていた。導入の有無には,所有者意識や優良材生産の有無など,各地域の林業をめぐる状況が大きく影響していた。導入に至った5組合には,研修前からの準備や他機関との連携などの共通点が見られた。団地化施業導入に伴う主な課題は,人材育成や職員間の連携など森林組合の体制の強化であった。また,団地化施業の導入に伴い,職員の意識や組合の体制に変化も見られ,日吉型団地化施業が単なる団地化促進策にとどまらず森林組合改革のきっかけになる可能性も示唆された。今後は地域の所有者意識や生産目標などを踏まえ,日吉とは異なる独自の施業法や見積りの立て方などを工夫していく必要がある。

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