- 著者
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小山 充道
- 出版者
- 日本特殊教育学会
- 雑誌
- 特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
- 巻号頁・発行日
- vol.17, no.2, pp.9-18, 1979-10-15
本研究は、準備電位の臨床的応用を目標とした基礎研究と位置づけられ、その第1段階として準備電位の準備性について健常成人を用いて検索したものである。実験手続きとしては、従来用いられてきた拇指による随意運動、すなわちスイッチ押し行動が用いられた。随意運動開始までの準備時間として、自由反応条件、0秒後反応条件、2秒後反応条件、4秒後反応条件が与えられた。0秒後反応条件は、周波数125c/sec、音圧約75Bd、持続時間約200msecの連続音を手がかりに受動的に反応することが求められ、2,4秒後反応条件では、運動の開始時は自己プログラミングスケジュールに従い、被験者の意志に委ねられたが運動行動は、頭の中で1から数え始め、"2,4"のところでスイッチを押すことを求められた。その結果、振幅については、自由条件、2秒条件、0秒および4秒条件の順に有意に増大し、緩電位変動の持続時間については、自由条件、0秒条件および2秒条件、4秒条件の順に有意に増大し、自由条件よりも4秒条件の準備電位が有意に大きいことから、自発的な心理的準備時間が長いと、それに対応して準備電位は増大し、つまり電位差が大となり、かつ準備電位の陰性方向への立上りが早くなるということは、準備電位は準備行動の生理学的反映であるとする仮説を支持しているものと解釈された。また準備電位の出現は、大脳賦活水準と賦活閾値に関係し、緩電位の基線変動水準が覚醒水準(arousal level)に対応し、賦活は筋電図発射までの陰性化の持続時間に、また努力(effort)は準備電位の振幅に対応していることが示唆された。本研究では加算回数が少ないことから、準備電位の各成分の生理学的意味づけについては討論されなかった。