- 著者
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中邑 賢龍
- 出版者
- 日本特殊教育学会
- 雑誌
- 特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
- 巻号頁・発行日
- vol.35, no.2, pp.33-41, 1997-09-30
- 被引用文献数
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コミュニケーションの拡大にVOCA(音声出力コミュニケーションエイド)が有効であるとする研究がある。本研究では、VOCAを利用可能な児童・生徒が2つの養護学校にどの程度存在するかを検討した。2つの養護学校に在籍する知的障害及び自閉的傾向を持つ児童・生徒163名(男子98名,女子65名)に対して、言語表出能力、言語理解能力を測定すると同時に、VOCAを用いたコミュニケーション遊びを実施した。その結果、言語表出能力に問題があるが言語理解能力は高く、VOCAを用いることによってコミュニケーションが改善されるであろうと考えられる児童・生徒が21名(12.9%)存在した。また、実用的に利用することは困難であるが、VOCAを用いてコミニュケーション遊びが可能であろうと思われる児童・生徒が4名(2.5%)存在した。さらに、絵画語彙検査で高い得点を示すだけの視覚言語理解が無ければ実用的VOCA利用は困難であることが明らかになった。