著者
佐藤 宣子
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.3-10, 1998-03-20
被引用文献数
5

林家の林業生産活動が活発な宮崎県耳川流域において,90年代における林家の存在形態を集落,山林保有規模,家族形態別に分析を行った。「いえ」が直系家族を維持し,世代継承がスムーズに行われている集落では,小規模林家層の自営性は低下しているものの,集落全体として林業・森林管理の担い手が確保され,中規模林家で世代交代を契機に新たな複合作物の導入や素材生産の低コスト化といった積極的な経営対応がみられた。また,30歳代の男性後継者や40,50歳代の女性(姑世代)達が,直接都市住民と結びつくような市場経済に対抗的な行動を90年代になって様々な形態で行っている。一方,土木・建設等の不安定兼業化が進み,「いえ」の存続が困難化している集落では,皆伐後の再造林放棄や挙家離村による不在村化の進行,高齢化による林道維持の困難化など,林家だけでは森林管理を担いきれない事態が広がっている。こうした中で,地域組織とりわけ地方自治体の役割が増しており,林家経営の安定化策や直系家族(特に若嫁世代)の定住条件の向上等の山村対策,及び森林の公的管理政策の両面が重要となっている。

言及状況

Twitter (1 users, 1 posts, 1 favorites)

こんな論文どうですか? 宮崎県耳川流域における林家の存在形態と森林管理問題(統一テーマ:「国際化・分権化」時代の森林管理問題,1998年春季大会論文)(佐藤 宣子),1998 http://t.co/oYsp4WdT

収集済み URL リスト