- 著者
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柳幸 広登
餅田 治之
- 出版者
- 林業経済学会
- 雑誌
- 林業経済研究 (ISSN:02851598)
- 巻号頁・発行日
- vol.44, no.1, pp.117-122, 1998-03-20
- 被引用文献数
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ニュージーランドの人工造林の展開は,(1)「第1次造林ブーム期」(1925-35年),(2)低調期(1930年代後半〜50年代前半),(3)「第2次造林ブーム期」(1960年代後半〜80年代前半),(4)急落期(1985〜1991年),(5)「第3次造林ブーム期」(1992年以降)の5つに時期区分できる。このうち「第3次造林ブーム期」の大きな特徴は,造林会社による「パートナーシップ造林」が主要な造林方法となっていることである。パートナーシップ造林が急増した背景には,(1)羊放牧業の不振,(2)1991年の税制改正によって造林投資の7割前後が所得税の控除対象になったこと,(3)好調な素材・製品輸出に支えられて立木価格が上昇したこと,(4)1990年代前半の社会保障制度の改革により退職後の備えを自力で準備する必要ができたこと,(5)パートナーシップ造林への投資が比較的少額で行えるため,従来林業に無関係であったさまざまな人々を引きつけていること,などが指摘できる。