著者
伊佐 智子
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.154-160, 2006-09-25

夫の死後、その凍結保存精子を用いて生殖補助医療を受けることは許されるのか。従来、法的規制は存在せず、死後生殖は道徳に反するとして十分には議論されてこなかった。本稿では、1.凍結保存精子を用いた死後生殖の方法が従来の生殖補助医療技術を認める前提である「法律婚の夫婦」であるという条件を満たさないこと、2.夫の生前同意は、死後には撤回不可能であり、また、それは真実の同意ではないこと、3.仮にこの技術を認めるとしても、法的条件付けが困難であること、という主として三つの理由から、凍結精子を用いた死後の生殖は認められるべきではないと主張する。

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