著者
梅干野 成央 土本 俊和
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.47, pp.296-299, 2004-07-17

近世の封建制から中央集権国家を目指した明治維新という近代化の初期装置は、領主であった藩や寺院の解体を図るために神仏分離,版籍奉還,廃藩置県を行った。これらを前提として地租改正が行われた。本論は長野県飯山市小菅に鎮座する小菅神社を事例として、もっぱら神仏分離令を契機とした転換を扱い、これを規定した地域個別の背景を所有の観点から明らかにした。近世後期に小菅神社の支配していた境内地や建物は、村落総体ともいうべき所有のもと置き換えられた。近世の建築遺構の多く残る小菅において、所有権の転換は近世の封建制から中央集権国家に移項した時代の変容を乗り切る一つの建築維持手段であった。

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