- 著者
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浅見 洋
- 出版者
- 日本宗教学会
- 雑誌
- 宗教研究 (ISSN:03873293)
- 巻号頁・発行日
- vol.82, no.2, pp.317-340, 2008-09-30
思想史的意義をもつとみなされてきた宗教批判は、宗教そのもの、特定の宗教、ないしはある教派の真理性を否定することによって、真理性をもつと考えられる何ものかを肯定しようとする思想的な試みである。だとすれば、宗教批判は宗教に関する真理問題と関わっていくつかの立場に類型化することが可能だと思われる。本稿では無神論的立場、絶対主義的立場、包括主義的立場からなされた宗教批判として、L・フォイエルバッハの無神論的宗教批判、K・バルトの神学的宗教批判、西田幾多郎の哲学的宗教批判を取り上げ、各々の宗教批判の構造とそれらの関連性に論及する。それによって、フォイエルバッハの宗教批判は人間学の構築、バルトの宗教批判は神学の再興、西田の宗教批判は宗教の説明をめざした肯定的、創造的な作業であったことを明らかにする。