- 著者
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大橋 明
- 出版者
- 中部学院大学
- 雑誌
- 中部学院大学・中部学院大学短期大学部研究紀要 (ISSN:1347328X)
- 巻号頁・発行日
- vol.9, pp.23-34, 2008-03
本論では、人間が生きていく上で必ず出会う"あきらめ"という心的様相について考察した。あきらめの語義を整理したところ、あきらめには"明らかにする" "心を晴れやかにする" "断念する"などの意味があることが示された。また村象喪失やあきらめについて述べてきた研究者の論を吟味したところ、あきらめは"不運に従う" "向き合わない" "放棄する"といった側面で捉えられている一方で、対象を断念する中でその痛みや思慕の情に折り合いがついていくという意味で用いられていることが示唆された。加えて従来の臨床研究を検討し、あきらめと希望との関連性について肯定的な視点から論じた。