著者
浅野 俊和
出版者
中部学院大学
雑誌
中部学院大学・中部学院大学短期大学部研究紀要 (ISSN:1347328X)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.57-65, 2004-03

本稿は、東映動画製作による<長編漫画映画>の第1作「白蛇伝」が劇場公開された1958(昭和33)年10月から、興行名称が「東映アニメフェア」へと変更された1990(平成2)年7月までのおよそ30年間に焦点を当て、「東映まんがまつり」という映画興行形態の形成及び変容の過程をたどることで、日本における<長編漫画映画>の誕生と終焉の経緯を跡づけたものである。
著者
大橋 明
出版者
中部学院大学
雑誌
中部学院大学・中部学院大学短期大学部研究紀要 (ISSN:1347328X)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.23-34, 2008-03

本論では、人間が生きていく上で必ず出会う"あきらめ"という心的様相について考察した。あきらめの語義を整理したところ、あきらめには"明らかにする" "心を晴れやかにする" "断念する"などの意味があることが示された。また村象喪失やあきらめについて述べてきた研究者の論を吟味したところ、あきらめは"不運に従う" "向き合わない" "放棄する"といった側面で捉えられている一方で、対象を断念する中でその痛みや思慕の情に折り合いがついていくという意味で用いられていることが示唆された。加えて従来の臨床研究を検討し、あきらめと希望との関連性について肯定的な視点から論じた。
著者
山田 丈美
出版者
中部学院大学
雑誌
中部学院大学・中部学院大学短期大学部研究紀要 (ISSN:1347328X)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.109-117, 2008-03

PISA調査における読解力低下の結果を受け、他教科との連携の必要性とともに、国語科独自の方策も探らなければならないと考える。他教科や国語科の説明的文章教材における図・表・グラフにもとづく読みの場合に比較して、文学的文章教材の読みについては、考え方の表明や意見の交流がしにくいとされてきたところがある。しかし、「読み取り線図」を導入することにより、自分の読みの表明と他者の読みとの交流が可能になる。2006年度小学4年生の一クラスにおける山田の実践から、「読み取り線図」方式の可能性と問題点をクラス全体および個々の児童について明らかにする。
著者
大井 智香子 Chikako OHI 中部学院大学
出版者
中部学院大学総合研究センター
雑誌
中部学院大学・中部学院大学短期大学部研究紀要 = Chubu Gakuin University Chubu Gakuin College the Journal (ISSN:1347328X)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.11-22, 2008-03-01

現在日本で働く日系ブラジル人の多くは社会的な課題となっている不安定就労層に属しており、わが国の社会保障ならびに社会福祉サービスの狭間で最も深刻な生活不安にさらされている存在である。就労目的で来日した日系ブラジル人は特定地域に集住する傾向がある。彼らの就労は経済の動向に左右され、また少しでもよい条件の雇用を求める人たちは日本国内の移動を繰り返すこととなり、その滞在は長期化傾向にある。個々の日系ブラジル人が移動を繰り返しそこに住む人物が入れ替わり立ち代りであったとしても、集住地域と呼ばれる都市などを中心として、ホスト住民にとっては「日系ブラジル人たち」という存在がはっきりと見える存在となりつつある。日系ブラジル人を取り巻く生活課題を把握するための調査の過程で、地域社会のなかで起きている課題に対して、きっかけは不満や苦情であっても現状を打開するために行動に移し、次第に「同じ地域に暮らしていくもの同士」という認識を深めていく人たちの実態が明らかになった。興味深い点は、それらの活動が地縁組織とアソシエーション型組織の協働あるいは融合の可能性を持っていることである。本稿では、日系ブラジル人の集住都市である岐阜県可児市における住民組織の活動事例を手がかりとして、課題克服に向けて動く住民組織の変化とそれらの組織が果たした役割について整理し、成り立ちや動機の異なる組織のネットワークの可能性について考察する。
著者
井上 修一
出版者
中部学院大学
雑誌
中部学院大学・中部学院大学短期大学部研究紀要 (ISSN:1347328X)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.113-126, 2006-03

利用者家族による介護経験年数、面会頻度、家族会への参加状況が、家族自身の苦情表明行動に影響することが明らかになった。また、家族は身内を施設にお願いしながらも、現状に迷いを感じていることがわかった。これで良かったのだと本当に安心・確信できる環境・関係づくりが大切であるとともに、それには、家族関係支援や家族と援助者との協力関係構築が必要になってくる。今後、苦情が言いたくても言えない家族の背景を明らかにし、どのようにフォローするかが更に重要になるだろう。
著者
片桐 史恵
出版者
中部学院大学
雑誌
中部学院大学・中部学院大学短期大学部研究紀要 (ISSN:1347328X)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.35-41, 2008-03

本稿では、多くの喪失体験をしながらも、自分と向き合い、様々な軋轢と格闘しながらも生涯現役の芸術家として、自分自身の内面と向き合い自分自身と闘い続けたミケランジェロの生き様と、その類まれな芸術作品をとりあげ、死をテーマとした作品と作家の関係性の中に何を見出すことができるのか検討した。ミケランジェロが生涯の中で多くの作品を遺したが、生涯に4体刻んだ「ピエタ」の作品の中から初作「サン・ピエトロのピエタ」と遺作「ロンダニーニのピエタ」を中心に作品の形成及び変容について言及し、死生学の視点から考察した。
著者
高森 敬久
出版者
中部学院大学
雑誌
中部学院大学・中部学院大学短期大学部研究紀要 (ISSN:1347328X)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.69-79, 2005-03

在宅ケアを障害が重く虚弱な高齢者とくに痴呆性高齢者のケアに重点を置いた場合、彼らには通う、訪問、泊まる、住まう、そうして最後にターミナル・ケアの諸機能をケア・マネジメントを通じて総合的・統合的・連続的に提供し、さらにこれを制度化することが期待されているが、今日我が国の実践レベルではごく一部で試みられているに過ぎないし、その有効性についても仮説のレベルを越えていない。かたや北米合衆国各地においては既に1970年代頃からこうした多機能型プログラムに取り組まれている。そこで本研究ではこうした先行事例を実地調査し、ソーシャルワークによる援助方法の有効性を検証・分析すると共に今後に残された課題について若干の提案を試みる。
著者
浅野 俊和 Toshikazu ASANO
雑誌
中部学院大学・中部学院大学短期大学部研究紀要 = Chubu Gakuin University Chubu Gakuin College the Journal (ISSN:1347328X)
巻号頁・発行日
no.5, pp.57-65, 2004-03

本稿は、東映動画製作による<長編漫画映画>の第1作「白蛇伝」が劇場公開された1958(昭和33)年10月から、興行名称が「東映アニメフェア」へと変更された1990(平成2)年7月までのおよそ30年間に焦点を当て、「東映まんがまつり」という映画興行形態の形成及び変容の過程をたどることで、日本における<長編漫画映画>の誕生と終焉の経緯を跡づけたものである。