著者
今村 朋子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
聖路加看護学会誌 (ISSN:13441922)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.68-75, 2007-06

目的助産所から病院への搬送事例について,助産師と女性双方の立場から,そのプロセスを明らかにすることにより,搬送事例における助産ケアのあり方を考える。対象と方法分娩期に助産所から病院へ搬送となった3事例について,女性3名と担当した開業助産師3名を対象に,参加観察法と半構成的面接法によりデータを収集し,アウトカムモデルに沿って各事例を質的に分析した。結果事例A:37週の前期破水時に低体重児が指摘され,搬送となった。助産師は,Aさんが搬送に納得し,自己決定していくための,時間や環境の提供などのケアをおこなった。Aさんは,『病院での出産は,児の安全のためにも,自分の人生にとっても必要だった』と意味づけ,自分のお産を受け入れる気持ちに至った。事例B:遷延分娩で搬送となった。助産師は早い段階から分娩遷延を予測し,Bさんの反応を確認しながら,「安全と納得が両立できる搬送時期を模索」していた。分娩経過の中で,助産師とともに模索の時間を過ごしたことで,Bさんは『一つ一つ納得しながら進むことができ,いいお産だったと思える』と評価した。事例C:回旋異常による分娩停止で搬送となった。情報理解について助産師とのズレが存在し,Cさんの意思が尊重されないままの状況の中で搬送が決定された。この出産体験についてCさんは,満足いく出産体験であったと語ることはできなかった。結論女性たちは,搬送という状況の中にあっても,安全以上の結果を望み,満足いく出産俐験に向けて取り組んでいた。開業助産師は,「早めの搬送により母子の安全・安心を守るケア」に加えて,出産体験の満足度を高められるよう,「女性が搬送に納得する過程を支えるケア」「搬送で生じる変化を最小限にとどめるケア」「出産への主体性を保ち続けることを支えるケア」「助産所とのつながりを保障するケア」などの助産ケアをおこなうことが重要である。

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