著者
安村 直樹 山本 博一
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.47-52, 2001-03-15

近年社会問題となっているスギ花粉症(以下花粉症)に関わって,市民の森林・林業に対する認識,特に人工林に対する認識を把握するためにアンケート調査を行った。アンケート調査からは,花粉症有病者を中心として,人工林を花粉少品種,特に他の樹種へ転換することを強く望んでいることがわかった。今後花粉症有病率の増加傾向が変わらないとすれば,人工林に対する花粉症由来の意見や認識はますます強くなっていくものと思われる。育成に長期を要する森林は長期的な視点からその取り扱い方を決定しなければならないが森林における花粉症対策もその例外ではない。まず早急な転換によって生じる問題点についての情報を提示し市民の理解を得ることが必要である。そして森林の取り扱いについて市民の理解を確実にするためには針葉樹人工林の効率性を市民に十分に認識してもらった上で,長期的な視点から人工林の持つ効率性と広葉樹天然林の持つ多様性との調和について改めて社会的な議論を巻き起こしていくことが必要である。

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CiNii 論文 -  スギ人工林の今後の取り扱いについて : 花粉症に関するアンケート調査をもとに http://t.co/QhL7qKFY

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