- 著者
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古川 泰
- 出版者
- 林業経済学会
- 雑誌
- 林業経済研究 (ISSN:02851598)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.1, pp.39-52, 2004-03-01
- 被引用文献数
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4
地球環境時代にはいり,地方自治体から環境を強く意識した林政(森林・林業施策)が打ち出されてきている。本稿では高知県で導入された森林環境税と高知県梼原町で展開されている環境型森林・林業振興策を事例に,これら施策の成立と展開過程で住民参加がどのように行われているかを検証した。県レベルでは住民の参加はアンケート等の行政側の意見聴取という形で行われ新税推進の力となったこと,税制度設計,新税の使途についても影響力があったと言えること。梼原町の事例では住民自治組織を基礎とした意見聴取過程や施策実施における住民の直接的参加が追求され,効果が上がっていることが確認された。今後,地方自治体林政において環境面がより重視される方向に進んでゆく中で,行政もふくめた林業関係者は住民,市民をともに考えるパートナーとして受け入れることが必要である。