- 著者
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羅 攀柱
篠原 武夫
- 出版者
- 林業経済学会
- 雑誌
- 林業経済研究 (ISSN:02851598)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.3, pp.1-10, 2004-11-01
中国南方集体林区における林業各戸請負制の実行は山林経営管理の混乱を招き,森林資源を破壊することとなった。そのため,造林資金が不足し,立地条件も劣る地域では,大面積の荒山を対象とする森林の造成,保育及び保護管理が益々困難となった、,この問題を解決する1つの方策として湖南省では,工程封山育林林業株式合作制度が地方政府の主導下で作られ,一定の広がりを見せている。この制度は,株式制度を活用したものであり,自由加入の原則に則って同・地域内の農民を組織し,郷,村行政の下で,林業各戸請負制によって各農家に請負わせている山林を林場に出資させ,複数の山を一団とした林場単位で封山育林を実行する。そして山林,資金,労働力等の生産要素を株に換算し,株に応じて利益を配分する。森林が育成途上にある工程封山育林株式合作制度は,地方政府及び自治組織の資金助成の下で,零細性を克服した林業経営を実現し,森林造成を推進すると同時に,森林の乱伐を減らす等森林資源の保護を可能にしている。しかし,経営資金の不足,制度の不備等のため,自立的経営を実現している林場は殆どない,工程封山育林林業株式合作制度は注目される制度であるが,現状では改善すべき点も多い。