著者
イチャワンディ イン 篠原 武夫 ダルスマ ドゥドゥン 仲間 勇栄
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.1-12, 2005-07-01
被引用文献数
2

This paper describes the characteristics of private forest management applied by farmers in dry land of the rural Java. The agroforestry system was used to manage their forest to manifest many objectives and constraints. The farmers practiced many types of agroforestry system, which depend on their own habit and needs. By a long experience, farmers cultivated their own small land with a high value of plant species combination. Farmers were able to manage their private forest on sustainable manner by applying selective cutting system. Even though, private forest has not contributed a big portion to the total household income, but it was important as saving asset, especially when cash money urged during emergency situation. Financial analysis proved that agroforestry-based private forest in Java is prospective for an investment in farming business. PF system is a promising system to be promoted for forest resources improvement in Java. It could be accelerated by intro-ducing appropriate policy and programs with farmers' characteristics on managing PF in rural area of Java.
著者
篠原 武夫
出版者
琉球大学
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.309-322, 1971-12-01

1)森林資源 林型一気候条件からみた世界の林型は, 針葉樹林, 温帯広葉樹林, 熱帯広葉樹林の3つに分けられている。針葉樹林の95%は先進地域の北半球にあり, 温帯広葉樹林も北半球に偏在し, 熱帯広葉樹林は低開発地域の南アメリカと北アメリカに集中している。また別の分類によると亜寒帯針葉林, 温帯混交林, 温暖温帯湿林, 赤道雨林, 熱帯落樹湿林, 乾燥林の6つの林型がある。面積-世界の林地面積は約43億haで, 土地面積に対する森林率は30%である。森林割合を100%とすると, 先進地域に53%, 低開発地域に47%がある。個々の地域ごとにみると, 南アメリカ21%, ソ連19%, 北アメリカ18%, アフリカ18%, アジア13%,その他11%となっている。林相-世界の針・広葉樹の合計面積は約25億ha, そのうち針葉約9億ha, 広葉15億ha, 混交1億haとなり, 広葉樹が最も多い。推定による針・広葉樹面積は約37億haで, そのうち針葉樹は約12億ha, その主要分布地は北半球の温帯にあって, ソ連と北アメリカの先進地域で80%以上に達している。広葉樹は25億ha, その4分の3は低開発地域に散在し, 主に南アメリカとアフリカにある。蓄積-森林総蓄積は2,380億m^3,うち針葉1,141億m^3,広葉1,239億m^3となり, 広葉樹の蓄積が多い。蓄積の分布はソ連33%, 南アメリカ33%, 北アメリカ18%となり, これら3地域で84%にも達している。アジア, アフリカ, 南アメリカを合せても16%にしかならず, その原因は未調査・未報告の森林が多いためであるとされる。推定による世界の森林蓄積は3,400億m^3,うち針葉1,350億m^3,広葉2,050億m^3となっている。ha当りの蓄積は一般に針葉樹が高い。2)森林開発 採取-1960∿62年の年平均伐採量は約19億m^2,うち用材10億m^3,薪炭材9億m^3である。先進地域の伐採量は11億m^3で, その84%は針葉樹である。残余の8億m^3は低開発地域でなされ, その67%は広葉樹である。用材の75%が針葉樹からなり, 薪炭材81%は広葉樹で占められている。そして用材の83%が先進地域, 薪炭材の71%は低開発地域で生産されている。先進地域の用材粗見積は約9億m^3で, 低開発地域は1億m^3にすぎない。このように先進・低開発地域間の採取開発はきわめて不均等である。今日, 世界各地で人口増加に伴う木材需要の増大により森林資源不足の危機がさけばれつつある。そこでこの解決策としてすぐれた林業政策による更新計画や豊富な熱帯森林資源の高度利用などがとりあげられている。また近年では森林伐採の急激な進展から, 森林の保全的機能が強調され世界各地で自然保護の声が高まりつつある。つぎに各地域の採取的開発の状況をより詳しくみると, 先進地域のヨーロツパ, 北アメリカ, ソ連, 日本などの森林は今日まで経済的に開発され, 森林の利用は活発である。ヨーロツパでは針葉樹の成熟林はほとんど伐採され不良木が多いという。ソ連では広大な成熟林を有し政府の伐採計画にもとずいて伐出されている。米国の伐採量は増産の傾向にあり, 伐採木も原生林から第2次林に移行しつつある。カナダは現在未開発の森林が非常に多い。日本は年々の木材需要の増大で木材危機にある。ところが低開発地域の採取的開発はおくれている。南アメリカの豊富な森林は地理的原因で開発困難にあるのが多く, そのためユーカリ造林などが試みられている。西アフリカの伐採量の多い熱帯降雨林は, いずれ生産減少するといわれる。だがその他のアフリカ地域では保存林が多いので多量の生産が期待されている。ところによっては造林問題の発生しているところもある。東南アジアでは豊富な熱帯林が多く, 近年採取的開発が急速に活発化し, 最近では造林問題まで起っている。太平洋地域を除く地域では需要の増大で深刻な木材不足にある。終りに1961年の工業用材の過不足状況を述べると, たいていの先進・低開発地域が需要に対して供給不足にある。このことは日本のごときは一層深刻で最近ではパルプ用材確保のために南方地域での造林を計画している。育成-今日木材資源の減少問題は世界的傾向となり, それで世界の各地域では人工造林が着々と進められつつある。世界の人工林の大部分は北部温帯に属する先進地域の国々にある。公表国の人工林面積は約3,400万ha, 未公表国のを含めると約8,100万haとなっている。人工林の主要国面積を列記すると, 中国(本土)約3,000万ha, ソ連約1,100万ha, 米国約1,000万ha, 日本800万haとなり, これら国々の植栽樹種は, ほとんど針葉樹である。中国とソ連で世界の約半分を占めているが, その数字は推定による。公表国に広く植栽されている樹種は針葉樹であり, それは造林地の70%に達している。ヨーロツパの北部地方では広葉樹から針葉樹への林種転換をして森林の経済的価値を高める努力がはらわれている。南部地方では造林地が多く, 樹種はたいてい早成のポプラである。米国では早成のパインが植栽されている。日本では針葉樹の造林が推進され
著者
安里 練雄 平田 永二 新本 光孝 篠原 武夫
出版者
琉球大学
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.61-70, 1999-12-01

沖縄県における林業従事者の雇用の促進や就労環境の改善に寄与することを目的に,森林組合傘下の13作業班について,年間の就労日数や作業内容等の就労実態調査を行った。その結果を要約するとおよそ次の通りである。1) 作業班員には60歳以上の者が多く,5年以上の林業経験者が約60%を占めている。2) 沖縄本島の作業班は,班長の個人経営体的性格が強く,森林組合と班長の間で「下請け」契約を交わして事業を行っている。宮古,八重山の作業班は,森林組合が作業班員を直接雇用し,作業班長は連絡調整の役割を担っている。3) 作業班の年間の平均就労日数は162.6日で,労働日の66%に相当し,就労の機会が少ない。作業班の差も大きい。4) 作業班の月平均就労日数は13.6日である。月別の平均就労日数率は,5月の最低28%から2月の最高82%と,時期的に変動が大きい。5) 13作業班の全作業員(179人)による年間の就労のべ人数は,23,763人/日である。月別の平均就労人数は1,980.3人である。6) 作業班の年間の就労人数率は平均53%である。作業班により11%から103%と,就労機会に大きな差がある。7) 作業班の月別就労人数率は,5月が最低で21%,1月が最高で70%となって,月別の差が大きい。年間を通じて就労の機会が不安定である。8) 作業の内容は,複層林の下刈り作業が最も多く,次いでマツ防除作業,単層林下刈り作業,育成天然林作業などとなっている。複層林下刈り作業は国頭村及び宮古森林組合傘下の作業班に多く,マツ防除作業は沖縄北部森林組合傘下の作業班に多い。9) 作業班全体での年間作業総日数は2,114日である。このうち65.6%は市町村有林の事業で,32.0%は県有林又は県の事業で,これ以外の事業はごくわずかである。県や市町村主導の林業活動が展開されており,行政の取り組みの影響が極めて大きい。10) 多くの作業班長は就労日数の増加を望んでいる。全ての森林組合,作業員のほとんどが「事業量の安定確保による通年雇用の確保」を最重要課題としている。
著者
羅 攀柱 篠原 武夫
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.1-10, 2004-11-01

中国南方集体林区における林業各戸請負制の実行は山林経営管理の混乱を招き,森林資源を破壊することとなった。そのため,造林資金が不足し,立地条件も劣る地域では,大面積の荒山を対象とする森林の造成,保育及び保護管理が益々困難となった、,この問題を解決する1つの方策として湖南省では,工程封山育林林業株式合作制度が地方政府の主導下で作られ,一定の広がりを見せている。この制度は,株式制度を活用したものであり,自由加入の原則に則って同・地域内の農民を組織し,郷,村行政の下で,林業各戸請負制によって各農家に請負わせている山林を林場に出資させ,複数の山を一団とした林場単位で封山育林を実行する。そして山林,資金,労働力等の生産要素を株に換算し,株に応じて利益を配分する。森林が育成途上にある工程封山育林株式合作制度は,地方政府及び自治組織の資金助成の下で,零細性を克服した林業経営を実現し,森林造成を推進すると同時に,森林の乱伐を減らす等森林資源の保護を可能にしている。しかし,経営資金の不足,制度の不備等のため,自立的経営を実現している林場は殆どない,工程封山育林林業株式合作制度は注目される制度であるが,現状では改善すべき点も多い。
著者
篠原 武夫
出版者
琉球大学
雑誌
琉球大学農学部学術報告 (ISSN:03704246)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.567-574, 1975-12-01

(1)近年わが国の国産材供給危機の情勢により, 東南アジア森林開発に対する関心の高まりは, まことに著しくなってきている。東南アジア森林開発の問題はわが国の林業問題と密接不可分の関係にある。今日の東南アジアの森林は植民地時代の影響を強く受けているので歴史的認識に基づいた東南アジア森林開発の理論的研究は急務である。本論の中心的課題も, 戦前のイギリス帝国主義によって東南アジアの森林がいかに開発されたか, つまり帝国主義の資本の論理が東南アジア植民地の森林にいかに展開して行ったか, という過程を明らかにすることにある。(2)分析方法は植民地森林開発の理論に基づき, 「イギリス帝国主義経済と東南アジア植民地森林開発」の視点に立って接近して行くことにした。一般に帝国主義が植民地開発(資本輸出)を試みる究極の目的は, 超過利潤取得以外の何物でもないが, その目的を達成するために, 独占資本にとって最も要求される課題は植民地原料資源の独占的支配である。この課題を実現するために領土的支配を確立した植民地においては独占資本は国家権力と一体となって原料資源の独占的開発を進めていく。これに対して領土的支配の確立までに至っていない半植民地においては資本侵略によって原料資源の独占的開発を行なうのである。このことは植民地で森林開発が行なわれる場合にも同じように現われる。すなわち(1)領土的支配の確立した植民地の森林開発はなんらかの国家的規模における強権を背景として独占資本の手で開発され, そのために開発対象林は基本的には国有林であり, 資本活動が国家的林野所有を舞台として展開する。すなわち独占資本は森林の所有主体である国家権力と結合して森林資源の独占的開発を可能にするのである。(2)しかし, 同じ植民地で森林の国家的所有が成立しても森林開発が農業開発に重点が置かれて行なわれることがある。そこでの開発資本には農業開発資本のみが存する。この場合の森林資源の意義は農業開発資本の独占的利潤追求と不可分離の関係にある。(3)領土的支配の確立していない半植民地の森林開発では森林の所有主体が民族国家に属しているため, そこでの一資本による森林資源の独占的開発はもっぱら巨大資本力によって生産過程における民族資本および他の帝国主義国資本を圧倒して実現される。以上に述べた植民地森林開発理論の(1)に該当する植民地はビルマ, (2)はマレー, (3)はタイである。