著者
大場 厚志
出版者
東海学園大学
雑誌
東海学園大学研究紀要. 人文学・健康科学研究編 (ISSN:1349161X)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.35-44, 2008-03

チャップリンの『モダン・タイムス』の冒頭18分は主として工場内の場面であり、工場労働者としてのチャーリーが精神に異常をきたして大暴れするまでが描かれる。この18分は、放浪紳士としてのチャーリーとヒロインによる"home"の探求、社会/個人の幸福などの後に現われるテーマへとつながっていくものであり、この映画の基調をなす重要部分である。この小論は、(1)時計の文字盤のクロースアップ、(2)羊の群れと労働者の集団、(3)社長、ヘンリー・フォード、ターザン、(4)機械に呑み込まれた人間、(5)機械文明に対する皮肉と無意識のヒロイズム、という観点から映画の冒頭18分を「読む」試みである。労働者のおかれた深刻な状況の諸相のみならず、放浪紳士としての主人公を特徴づけることになる性格づけを検証することによって、工場内のシークエンスの重要性を再認識することになるだろう。

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