著者
天谷 祐子
出版者
東海学園大学
雑誌
東海学園大学研究紀要. 人文学・健康科学研究編 (ISSN:1349161X)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.17-31, 2007-03-31

本研究は、Leeによる恋愛類型理論に基づき松井・木賊・立澤・大久保・大前・岡村・米田(1990)が作成した恋愛観尺度(LETS2)とAron(1992)による一体感尺度(IOS)と天貝(1995)による信頼感尺度を大学生にたずねたものである。研究1では200名の大学生を対象に恋愛観尺度と一体感尺度を質問した。結果として(1)全ての大学生(全ての群)が恋人よりも将来の結婚相手により親密さを感じていた。(2)恋人のいる人は、そうでない人よりもエロス得点の高さが恋人との一体感と関連していた。恋人はいないが恋愛経験のある人はすべてのLETS2得点と一体感と関連していなかった。恋愛経験のない人は、エロス、アガペ、マニア、ストーゲイの高さと一体感が関連していた。研究2では379名の大学生が恋愛観尺度と信頼感尺度に回答した。結果として(1)恋愛経験のある人はそうでない人よりも信頼感得点が高かった。(2)恋人がいてその恋人と結婚したいと考えている人は、他の群よりもエロス得点が高かった。
著者
春日井 真英
出版者
東海学園大学
雑誌
東海学園大学研究紀要. 人文学・健康科学研究編 (ISSN:1349161X)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.1-18, 2005-03-31

屋根の上にある鬼面の瓦、鬼瓦は日本人にはかなり馴染みがある。しかし、この鬼面の瓦は一般には寺院などでしか見ることができない。民家の飾り瓦には他の図案のものが存在するのである。また、屋根の装飾は瓦の図案だけではなく瓦の上に置かれた「留め蓋」、「置き蓋」によってもなされる。だがこれも民家では一般的なモノではない。しかし寺、神社という宗教的施設では獅子や牡丹の花などの置き蓋の飾りを見ることができる。だが、調べるうちに一般的な民家でもこの飾りが置かれていることが判る。それらは、獅子や牡丹の花といったものではなく、宝船、七福神、それに波頭といったものによってなされている。七福神や宝船などの屋根飾りの象徴性を分析することから、家という空間を日本人がどのように意識していたかを考察することができる。著者は屋根の飾りの意匠を通して、そこには富の招致もしくは富を護る呪術が隠されていると考えたい。
著者
韓 順子 谷 伊織 早川 史子
出版者
東海学園大学
雑誌
東海学園大学研究紀要. 人文学・健康科学研究編 (ISSN:1349161X)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.91-100, 2008-03

2005年5月下旬から6月上旬において、愛知県における女子高校生と女子大学生の飲み物の飲用状況を調査し、次のような結果を得た。1.高校生、大学生ともに夏の飲み物として最も多く飲まれていたのは、煮出し麦茶とウーロン茶だった。2.高校生に比べて大学生の方が飲み物の飲用率が低かったのは、大学生の方が食間に飲み物を飲んでいなかったことによるものであった。3.緑茶および紅茶、コーヒーに対する嗜好性では、大学生が緑茶やコーヒーを好み、高校生では紅茶を有意に好んでいた。4.来客時と団欒時の飲み物として大学生では、緑茶とコーヒーをそれぞれイメージしたのに対し、高校生ではいずれの場合も緑茶、紅茶およびコーヒー以外の飲み物をイメージした。
著者
北出 真紀恵
出版者
東海学園大学
雑誌
東海学園大学研究紀要. 人文学・健康科学研究編 (ISSN:1349161X)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.53-69, 2008-03

本稿の目的は、アナウンサーとは何かを考察することである。これまでのアナウンサー研究のなかで職能についてはほとんど言及されてこなかった。本稿では、公刊された『アナウンス読本』を中心にアナウンサーの専門研修を概観することによって、アナウンサーの職能の変遷をたどり、現在のアナウンサーの職能について検討する。初期アナウンサーの職能は「標準語の伝え手であること」であった。研修が洗練され、"声"が規格化すると、アナウンサー・には「個性」が要請されるようになった。そして、技術革新を背景に、「きく」「レポート」という職能が増加した。現在のアナウンサーは基本的アナウンス技能だけではなく、多様化し、専門化した放送の送り手であることが求められている。放送文化のなかで、アナウンサーはいつも新しい型を作り出す開拓者であった。アナウンサーの行く手には困難が待ち受けているが、今後も新しいジャンルをきりひらく開拓者であり続けることを期待したい。
著者
大場 厚志
出版者
東海学園大学
雑誌
東海学園大学研究紀要. 人文学・健康科学研究編 (ISSN:1349161X)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.35-44, 2008-03

チャップリンの『モダン・タイムス』の冒頭18分は主として工場内の場面であり、工場労働者としてのチャーリーが精神に異常をきたして大暴れするまでが描かれる。この18分は、放浪紳士としてのチャーリーとヒロインによる"home"の探求、社会/個人の幸福などの後に現われるテーマへとつながっていくものであり、この映画の基調をなす重要部分である。この小論は、(1)時計の文字盤のクロースアップ、(2)羊の群れと労働者の集団、(3)社長、ヘンリー・フォード、ターザン、(4)機械に呑み込まれた人間、(5)機械文明に対する皮肉と無意識のヒロイズム、という観点から映画の冒頭18分を「読む」試みである。労働者のおかれた深刻な状況の諸相のみならず、放浪紳士としての主人公を特徴づけることになる性格づけを検証することによって、工場内のシークエンスの重要性を再認識することになるだろう。
著者
村田 光平
出版者
東海学園大学
雑誌
東海学園大学研究紀要. 人文学・健康科学研究編 (ISSN:1349161X)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.57-64, 2005-03-31

グローバリゼーションが進展する中で、手段である経済成長が目的と化し、人間の幸福追求という本来の目的が忘れられている。人間は排除の対象にすらなりつつある。このような現状を生んだ要因としては、倫理の欠如、真の指導者の欠如、及びGDP経済学の責任の三つを指摘できる。人間の幸福は文化なしには考えられず、文化と文化交流を重視することは、経済至上主義に対するカウンター・バランスとなり得よう。揺らぎつつある政官財文化に取って代わり、環境破壊に脅かされた地球を救う「地球市民文化」が、人間復興を目指し逆襲に出るのである。宗教的寛容さを切り札とする日本は、新しい文明の創設と民事、軍事を問わない地球の非核化を世界に訴えていくべきである。
著者
杉山 幸丸
出版者
東海学園大学
雑誌
東海学園大学研究紀要. 人文学・健康科学研究編 (ISSN:1349161X)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.1-17, 2003-03-31

Minor universities are competing with each other severely to collect students as the number of universities is increasing though the number of children is decreasing. As a result a mass of less-educated youths, who often disturb the class is gathering in minor private universities. Professors have to educate such students as well as those who want to study further. The latter will be satisfied if professors respond to students' personal and wide-ranging requests. To respond to requests of those multivariate students, professors must have time free from the programmed schedule. The head of the university must leave professors free as much as possible. Then, they will work and study with students more than obligatory scheduled hours, otherwise professors don't intend to work more than forced to.
著者
村田 光平
出版者
東海学園大学
雑誌
東海学園大学研究紀要. 人文学・健康科学研究編 (ISSN:1349161X)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.159-167, 2004-03-31

The muclear policy of Japan must be made to change course in order to avoid catastrophy. The scale of relevent dangers can be imagined by having in mind (1) 4 nuclear plants in Hamaoka built at the very center of an area where a magnitude 8 class earthquake is predicted by an official body, (2) the reprocessing plant in Rokkashomura, Aomori prefecture, where radioactive waste materials equivalent to one million Hiroshima bombs are to be accumulated, (3) ITER (thermo nuclear fusion experimental reactor) which Japan tries to invite to Rokkashomura, although Dr. Koshiba, Nobel Laureate, and Dr. Hasegawa, Maxwell Award Winner, are strongly opposed to this. My concrete proposals for the change of nuclear policy include (1) sharing of the costs incurred by the state, the concerned enterprises, and the people, (2) radical reform of the concerned organizations, (3) strengthening of control over the concerned electrie companies, (4) fundamental reexamination of the energy provision structure, (5) a change of life style, (6) extention of the participation by local autonomies in the decision making. Japan, the only victim of atomic bombs, has the responsibility and the duty to appeal to the world for global denuclearization, both military and civil.