- 著者
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脇中 洋
- 出版者
- 花園大学
- 雑誌
- 花園大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:09192042)
- 巻号頁・発行日
- vol.16, pp.53-81, 2008-03
1995年7月に大阪市東住吉区の住宅密集地で発生した火災は、娘Mの死亡保険金目当ての詐欺未遂および放火殺人事件(いわゆる東住吉事件)として母親Aと内縁の夫Bが立件され、2人には2006年11月最高裁で無期懲役刑が確定している。本件は放火を裏付ける物的証拠がなく、AおよびBの自白のみを証拠としている。特にBには大量の供述があり、その大半で放火殺人を認めて克明に犯行様態を記しているが、その供述には数多くの疑問点が指摘されている。筆者は控訴審の段階から弁護団の鑑定依頼を受けて、B供述が「真犯人が体験を記した」ものか、「無実の者が犯人に扮して記した」ものかを明らかにするための供述分析を行なった。この鑑定書のうち、本稿では夫が自白に落ちた当日の供述を紹介して、自白の生成プロセスに関する評価を行なう。