著者
師 茂樹 吉田 叡禮 石井 公成
出版者
花園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究においては、聖語蔵に収録されていた沙門宗『因明正理門論注』・崇俊『法華決釈記』・『法華略讃嘆』・『法華経二十八品略釈』巻上・『金剛般若経疏』、佛教大学図書館蔵『大智度論略鈔』、国立歴史民俗博物館蔵『唯識比量』(水木家資料)など、従来知られていなかった未翻刻文献を複数発見し、その翻刻デジタルテキストと校訂版を作成することができた。これらの文献には多くの逸文が含まれ、東アジア仏教の解明に資することが期待される。いくつかの文献については学会等で発表し、その重要性が認知されている。近日中にデジタルテキストと校訂版を公開する予定である。
著者
三品 桂子
出版者
花園大学
雑誌
花園大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:09192042)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.63-83, 2013-03

本稿の目的は、アウトリーチのスキル、特に家族から相談を受け、ACT のスタッフがアウトリーチ活動を行い、利用者と支援契約を成立させるまでのプロセスで用いるスキルを明らかにすることである。調査対象機関は日本版ACT フィデリティ尺度の値が比較的高い日本の3つのACT チームである。調査期間は2006年3月〜2008年12月であり、事例記録、スタッフへの半構造化面接、フォーカスグループ、ミーティングや訪問場面の参与観察、出版物などをデータとし、そのデータをM-GTAで分析した。ACT における【出会い】のスキルは、≪家族と出会う≫≪家と出会う≫≪利用者と出会う≫スキルから成り立っており、22 の概念が生成された。なお、本稿では、スキルとは「重い精神障害のある人に対して、ACT の理念を基盤として、質のよいサービスを提供する際にスタッフが用いる知識、認知、行動(言動)」と定義し、ACT の利用者とその家族を対象とするミクロレベルのスキルを中心に明らかにした。
著者
橋本 和明
出版者
花園大学
雑誌
花園大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:09192042)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.31-60, 2010-03

これまでの配偶者虐待研究は、実態調査や量的研究を中心とした虐待の発生や要因についての分析であった。本研究では、「事例のメタ分析」という質的研究法を用いて、虐待の深刻化のメカニズムについての要因分析を行った。対象とした事例は、ある都道府県の児童相談所及び配偶者暴力相談支援センターに持ち込まれた配偶者虐待 23事例であり、「事例のメタ分析」を実施してカテゴリーを生成し、そのカテゴリー間の構造化を図った。その結果、(1)加害者と被害者のパートナー関係、(2)加害者の特徴、(3)被害者の特徴、(4)家族関係の特徴、(5)関係機関との特徴にそれぞれ特徴が見出された。その一方で、虐待の深刻化を低下させるものとして、「ネットワーク機能のある切れ目のない支援」等、6つの要因が見出された。
著者
橋本 和明
出版者
花園大学
雑誌
花園大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:09192042)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.9-27, 2014-03

徳島県立みなと高等学園は平成24 年に特別支援学校の高等部として開校した日本ではじめての発達障害のある高校生の学校である。本研究では、同校の教員へのインタビュー調査を実施し、発達障害のある高校生への支援のあり方を質的研究法により分析した。研究の結果として、「青年期の課題との向き合い方」、「生きる力を育てる経験」、「障害特性に応じた支援」、「さまざまな連携と協力」、「障害受容の促進」、「特別支援教育と高等学校教育との融合」という6 つのカテゴリーが抽出でき、それらが相互に関係し、立体的な構造となっていることがわかった。この学園での取り組みは発達障害のある高校生への支援にも非常に有効であると考えた。
著者
林 信明
出版者
花園大学
雑誌
花園大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:09192042)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1-13, 2013-03

慈善事務所は、フランス革命期の1796 年、貧しい人びとを救済するために設けられた公的機関である。しかし実際は、革命の混乱で実動するまでには至らなかった。慈善事務所の存在が知られるようになるのは、ナポレオン帝政下においてである。その後、この事務所はいくども名称をかえながら、今日の自治体社会福祉活動センター(CCAS: Centre communal d'action sociale )に至る。総じていえば、19 世紀前半は産業資本主義の形成過程の最中にあって、社会救済への国家の関与は希薄であった。本論では、とりわけ国家責任が曖昧な当時において、慈善事務所がどのような役割を果たしたかについて論及する。
著者
小海宏之 前田明子 山本愛 加藤佑佳 岡村香織 園田薫 安藤悦子 岸川雄介
出版者
花園大学
雑誌
花園大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:09192042)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.91-96, 2010-03

本研究は、小海ら(2000 ,2004,2008)による日本語版 Mini-Mental State Examination(MMSE)の検出力と特異性を明らかにした。この MMSEの cut-off値を 24/25点とした場合、感度 0.837、特異度 0.957となり、臨床群( amnestic Mild Cognitive Impairment; MCIと probable Alzheimer's Disease; ADを含む)と健常群を判別するためのスクリーニングテストとして、十分な検出力と特異性を有することが示唆された。しかし、同様に 26/27点を cut-off値とした場合、感度 0.889、特異度 0.739となり、amnestic MCI群と健常群を判別するためのスクリーニングテストとして、十分な検出力と特異性を有するとは言い難く、他の認知機能検査による精査を行う必要性があることが示唆された。
著者
小海 宏之 岡村 香織 藤田 雄 杉野 正一
出版者
花園大学
雑誌
花園大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:09192042)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.1-8, 2012-03

本研究は、Cloninger の3次元人格理論による認知症患者の人格特徴について検討することにより、今後の認知症患者に対する適切な心理的アプローチ法を開発するための基礎資料を得ることを目的とする。対象は軽度認知障害者13名(平均年齢73.6 ± 10.0 歳)とアルツハイマー病者12名(平均年齢74.2 ± 9.8 歳)である。方法は対象者にMini-Mental State Examination(MMSE)などの認知機能検査、およびTridimensional Personality Questionnaire(TPQ)を個別実施した。その結果、アルツハイマー病者は軽度認知障害者と比較して、全般的認知機能の低下が認められるとともに、人格特徴としての行動の触発(新奇性追求総合点: U=43.5, p<0.10)や維持(報酬依存総合点: U=43.0, p<0.10)の低下が明らかとなった。これらの特徴から、アルツハイマー病者は軽度認知障害者と比較して、dopamineやnorepinephrine の分泌量が低下する可能性を示唆するとも考えられる。
著者
松岡 由香子
出版者
花園大学
雑誌
花園大学文学部研究紀要 (ISSN:1342467X)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.89-145, 2013-03
著者
小海 宏之 加藤 佑佳 成本 迅 松岡 照之 谷口 将吾 小川 真由 三村 將 仲秋 秀太郎 江口 洋子 飯干 紀代子 園田 薫 岸川 雄介 杉野 正一
出版者
花園大学
雑誌
花園大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:09192042)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.29-37, 2014-03

本研究は、各神経心理検査の一つの下位検査から言語性記憶指数(VMQ)を推定するための基礎資料を得ることを目的とする。対象は軽度認知障害者およびアルツハイマー病者の計71 名である。方法は対象者にMMSE、ADAS、WMS-R を個別実施し、VMQ との相関分析を行った。また、VMQ と各神経心理検査の下位検査との間で最も高い相関係数値となった下位検査についてVMQ との単回帰式を求めた。その結果、推定VMQ=50.203+6.661×(時間的見当識素点)、推定VMQ=39.469+6.762×(平均単語再生数)、推定VMQ=68.921+1.439×(論理的記憶II(遅延)素点)の単回帰式が得られた。さらに、これらの単回帰式から得られた各下位検査と推定VMQ に関する判定基準を導き出した。医療同意能力を予測する因子の一つとして記憶の機能は重要であると考えられるため、本研究結果の指標は有用になるであろうとも考えられる。
著者
丹治 光浩 松本 真理子
出版者
花園大学
雑誌
花園大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:09192042)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.1-8, 2014-03

本研究の目的は、わが国の臨床場面において使用されているロールシャッハ技法の実態とそれに対する臨床家の意識について調査し、ロールシャッハ・テスト教育の今後の方向性を探ることである。ロールシャッハ・テスト関連の2 つの学会名簿から無作為抽出した588 名を対象にアンケート調査を実施した結果、最初は片口法で学んだ者が最も多いものの(60%)、現在は包括システムで実施している者が最も多かった(59%)。また、使用技法を変更した者が51%にみられ、そのほとんどが片口法から包括システムへの変更であった。その理由としては、エビデンスの存在、分析・解釈の容易さなどが挙げられた。一方、解釈には形式分析のみでなく、内容分析や継列分析を盛り込むとした回答が多く、わが国の臨床家が統合的な解釈を実践していることが示唆された。ロールシャッハ・テストに対する課題としては、「スコアリングの難しさ」「研修の機会」「職場の理解」「技法の違いをめぐる対立」「大学院教育の充実」などが挙げられ、今後のロールシャッハ・テスト教育のあり方を検討する必要性が考えられる。
著者
藤森 旭人
出版者
花園大学
雑誌
花園大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:09192042)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.55-62, 2013-03

本論では対人援助職に内包される援助者のこころの在りようを出発点とし、心理療法の中でも無意識を扱う精神分析において、心理療法家が個人分析と呼ばれる精神分析を受けておく意義や必要性について考察した。その理解を促進させるために漫画「ホムンクルス」を用いた。「ホムンクルス」とは「こころの歪み」であり、主人公が他者の「ホムンクルス」を視覚化して見ることができるという設定になっている。この歪みは精神分析的作業の中では転移-逆転移として捉えられるものであり、他者の「ホムンクルス」と関わることで、精神的破綻をきたすまでが描かれている。対人援助者は、自分の傷つきを棚上げし、他者への援助によって自分自身を保とうとする傾向があることにも触れ、この傷つきや破綻を防ぐためにも、個人分析を受けておくことの必要性について論じた。そして、それは他者のことをよく考えられるこころの状態を作りだしておく作業でもあることを強調した。
著者
植田 恵理子
出版者
花園大学
雑誌
花園大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:09192042)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.97-109, 2013-03

本稿は、筆者が主催する参加体験型音楽劇「音の絵本」コンサート時に見られた、「協同して、何かを成し遂げる観客の姿勢」から、協同して表現活動に参加するための要因を導き出し、保育現場の活動に生かす方法を示唆するものである。ここでは、音の絵本「西遊記」というコンサートを取り上げ、観客が協力して、生き生きと積極的な表現活動を行った場面を抽出し、その要因となった事項を導き出す。得られた結果を踏まえて構成した、音の絵本「ねえ、おはなししてよ」を、S 幼稚園にて実施したところ、コンサート時と同じように園児たちが協力し、積極的に表現を工夫し合う姿が見られた。以上から、協同的な学びを引き出す音楽活動の一つとして、参加体験型の音楽劇が有効であることがわかった。
著者
渡辺 実
出版者
花園大学
雑誌
花園大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:09192042)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.49-62, 2012-03

知的障害児の文字・書きことば学習の指導について、担当教員の意識や指導方法を明らかにすることによって、文字・書きことばの習得学習が効果的に行われるための基礎的要件を明らかにする。研究方法は、K 市小学校の特別支援学級担当教員51 人に、勤務年数や書字指導について、児童の発達段階の意識等、7 項目の質問を4 段階で回答してもらい、その理由をKJ 法で分析し、各質問項目の相関も調べた。結果として、国語の重点課題では「話すこと」をあげた教員が最も多く、「書くこと」の指導は最も少なかった。回答における各項目の相関では、「発達段階の考慮」と「書字学習は難しいか」という質問において女性教員では弱い相関がある。男性教員では経験年数と指導法において負の相関が認められ、経験年数が増すに従って指導法の悩みが減少していくが、「経験に頼っている」という反省もある。指導方法では、具体的な工夫や児童と指導者の課題を述べ、積極的に週予定の中に書字指導を組み込み、指導の有効性と見通しを持って指導をすることが必要であると言える。
著者
藤井 渉
出版者
花園大学
雑誌
花園大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:09192042)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.21-36, 2012-03

本稿では、身体障害者福祉法の対象規定に着目し、その成立と内容について考察を行うものである。身体障害者福祉法の対象規定には、身体障害者福祉法の別表と、身体障害者福祉法施行規則に示されている身体障害者障害程度等級表がある。そこで本稿ではこれらを取り上げ、その成立過程と、他の社会保障関係法との比較によってどのような特徴及び関連性を有するのかを検討した。
著者
曽根 誠一
出版者
花園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

主要伝本のコピーに、書き入れ等の朱・青筆の区別を記入する作業を完了し、それを踏まえて、蘆庵本の特徴を判断する基礎データを24家集について収集した。その結果、伝本には臨模本と校訂本の2系統があることと、伝本間の親疎関係を解明した。また、入江昌喜所蔵家集が全て蘆庵本になった訳ではないことを、『俊頼集』を事例して証明した。
著者
立岡 浩 林 紘一郎 山崎 茂雄 高 榮洙 梅村 修 福冨 忠和 牛木 理一 大角 玉樹 佐藤 薫 岩瀬 真央美 雑賀 忠宏 杉田 このみ 上田 学 家島 明彦 山口 芳香
出版者
花園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、映像コンテンツ産業におけるNPO(非営利組織)と、NPO・行政・企業・住民の複数利害関係者の参加によるPPP(公民協働事業体)及びその支援機関にかかる、権利・契約管理及び関連する振興政策と協働経営、そしてこれらの評価システムについて、産業ビジネス観・文化芸術観・社会エンパワメント観という3つの世界観及びそれらの調和バランスとを関係づけながら、理論と実証の両面から総合的多角的に解明する国際比較研究として行ったものである。