高度交通システム(ITS:Intelligent Transport System)実現のための要素技術の一つである近距離障害物検出システムとして,駐車支援のためのレーダネットワークの構築を検討している.特に測距装置として,安価で信号処理が簡単な超音波レーダを利用した構築を行う.本稿では,この要素技術である超音波アレイエミッタと位置推定アルゴリズムについて述べる.超音波アレイエミッタは,一般的な超音波エミッタが問題として抱える送信出力の不足を,複数のエミッタ素子を用いることで解決を図る.特に,提案手法では各エミッタ素子への信号を制御することにより駐車支援で必要とされる領域に隈なく出力の増幅が可能となる.位置推定アルゴリズムでは,高精度な位置推定と複数障害物の検出とを実現するために,確率演算に基づくアルゴリズムを述べる.本アルゴリズムでは,測距値と各センサの測距誤差特性,各センサの位置を利用した確率演算から導かれた障害物の存在確率分布によって障害物の位置を推定する.また,以上の要素技術を実装した試作機を通した特性評価についても述べる.