著者
池田 尚隆 市川 武宜 金子 敏信
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.733, pp.37-41, 2005-03-10

2002年に角尾らは, CPUのキャッシュの処理時間差を用いたキャッシュ攻撃を提案した.キャッシュ攻撃は, 非線形変換テーブルを有する暗号アルゴリズムに汎用的に適用できる.オリジナルのキャッシュ攻撃では平文のバイト間の差分を用いて攻撃方程式を導いた.2004年に筆者は複数の平文の対応するバイトの間の差分を用いたキャッシュ攻撃を提案し, Camelliaに対する攻撃計算量を削減した.本研究では, その着想を算術加算を含むラウンド関数に適用できるように改良し, これまでキャッシュ攻撃の結果が報告されていないSEEDに対して適用しその結果について報告する.
著者
清藤 武暢 黄瀬 和之 四方 順司 松本 勉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.734, pp.13-18, 2005-03-11

グループ署名方式は, ChaumとVan Heystにより提案された署名方式であり, グループに属する利用者がグループの代表として匿名で署名を生成することができ, 問題が生じたときにはグループ管理者により署名生成者を特定することができる方式である.本稿では, これまで計算量的な安全性の枠組みのもとで研究されてきたグループ署名方式について, 情報理論的安全性の枠組みのもとで考える.特に, 情報理論的に安全なグループ署名方式のモデル, 及び安全性の概念を新しく導入する.そして, 安全性の概念の定式化を行う.更に, その強い安全性を満たす具体的な構成法を提案する.
著者
水木 敬明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.472, pp.179-186, 2015-02-23

裏面が同一の模様のカードを何枚か用いると,安全な計算(Secure Multi-Party Computation)を実現できることが知られており,現在まで数多くのカードベース暗号プロトコルが考案されている.ほとんどの既存プロトコルは,表面についても同一の模様のカードを複数枚必要とするため,残念ながら市販のトランプカードをそのまま利用することは出来ない.ただしその例外として,1999年のNiemi-Renvallのプロトコルがあり,これは市販トランプカードで実行できる.本稿では,このような市販トランプカードを用いたプロトコルの改良に取り組み,効率的なANDプロトコル,XORプロトコル,及びコピープロトコルを提案する.
著者
内田 伸哉 菅野 真音 長井 隆行 池原 雅章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.176, pp.19-24, 2005-07-07

本論文は混合音声の音源分離について逆行列を使用した方法を提案する.まず, この手法を満たすための仮定であるW-disjoint orthogonalityについて述べ, ステレオ録音された各音声データは, それ特有の位相と振幅の比の値を持ち, それがオリジナルの音声ソースが不明な状態からの元信号探索に有効であることを示す.次に, 従来法であるDUETについて述べ, 振幅遅延表現のヒストグラムを作成することにより, 個々の音声ソースがピークを持ちそれぞれ独立の位相振幅成分を有することを確認する.最後に逆行列を使用して音源分離を行う方法についてシミュレーションを行い従来法と比較をし, その有用性を示す.
著者
大槻 知明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.71, pp.31-36, 2009-05-27

本稿では,無線通信・放送分野での誤り訂正技術動向を,低密度パリティ検査(LDPC)符号を中心に解説する.まず,LDPC符号について説明した後,通信や放送の標準に採用されているLDPC符号を中心に解説する.また,無線通信で不可欠な技術となっているMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)に関連したLDPC符号の研究動向について解説する.さらに,近年注目が高まっている中継通信でのLDPC符号の研究動向について解説する.
著者
佐々木 重信 日馬 拓海 周 杰 村松 正吾 菊池 久和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.74, pp.25-30, 2003-05-16
被引用文献数
5

Ultra Wideband(UWB)無線伝送方式は、数百psecから数nsecという極めて時間幅の短いパルスを用い、周波数を数GHzもの帯域に拡散する新しい無線伝送技術である。 UWB伝送は近距離の高速無線データ伝送の実現に有望な技術であるが、伝送に用いられるパルス幅が極めて短いため、パルス発生器で生じるジッタが深刻な問題になる恐れがある。また、信号が極めて広帯域を占めるため、同じ周波数帯域を占有する既存の狭帯域通信の影響が避けられない。本研究では直接スペクトル拡散(DS/SS)方式を用いたUWB(DS-UWB)伝送におけるジッタと狭帯域干渉の影響について、計算機シミュレーションにより評価を行った。その結果、本来の性能を得るためには、ジッタはパルス幅に対して1〜2%以下である必要があり、また狭帯域干渉ではSIRが20dB以上必要であることがわかった。
著者
加藤 徳人 丹羽 伸二 安川 博 田口 亮
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.194, pp.77-81, 2003-07-10

近年、地上波ディジタル放送やテレビのデジタル化,デジタルカメラなど,映像資料をデジタルデータとして扱うことが一般化されている.このため,画像の幾何学的処理が頻繁に行なわれ,中でもデジタル画像は拡大変化に向いていない.研究がなされている画像拡大手法として,周波数解析による高周波数成分の推定を伴う拡大法が提案されているが,各階層の相関が弱い画像では効果が低いという問題点が生じてしまう.また, Bezier曲面を使用する画像拡大手法が従来方式として提案されている.この手法では各画素がエネルギーを持っていると仮定し,各画素間のエネルギを保存しながら画像拡大を行なう.本稿では、拡張性の高いBスプライン曲面を使用する方法を提案し,さらに、拡大画像の評価方法としてPSNRを用いて拡大画像を客観的に評価した.
著者
藤井 雅弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.324, pp.19-22, 2009-12-01
参考文献数
5

2009年9月9日から11日の3日間にわたってカナダのバンクーバーのHyatt Regency VancouverホテルでICUWB2009(The 2009 IEEE International Conference on Ultra-Wideband)が開催された。本会議はUWB技術に特化した国際会議である。本稿では、ICUWB2009に関して報告し、本会議で議論されたUWBに関する最新のトピックスに関して述べる。
著者
羽渕 裕真 大内 浩司 小野 文枝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.374, pp.11-14, 2004-10-18
参考文献数
1

2004年8月30日(月)から2004年9月2日(木)まで、8th IEEE International Symposium on Spread Spectrum Techniques and Applications, ISSSTA2004(第8回スペクトル拡散技術と応用に関する国際シンポジウム)がオーストラリア、シドニーのソフィテルウエントワースホテルにて開催された。発表件数は196件、プレナリ講演は5件であった。本橋では、本国際会議の参加報告と本国際会議の近年の動向についての報告がなされている。
著者
萩原 雄一 小川 博久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.715, pp.127-131, 2004-03-09
参考文献数
25

日本に暗号モジュールを評価する制度が無い現在,アメリカとカナダが運用しているFIPS 140.2に基づくCMVP(Cryptographic Module Validation Program)は一定の成功を収めている.本稿ではCMVPの成立要件及びその問題点を考察し,日本版CMVP(JCMVP)への改善案を提唱する.
著者
北吉 均 澤谷 邦男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.674, pp.179-184, 2005-02-25
被引用文献数
2

950MHz帯4W EIRP及び2.45GHz帯RCR STD-1規格で, それぞれ30mまで通信可能な温度センサ付きパッシブ無線タグを開発・試作している.我々は, 無線タグに2分割マイクロストリップ3端子アンテナと受電部のλ/4ショートスタブ共振回路及びラダー昇圧整流回路を用いることを提案している.まず, 2分割マイクロストリップ3端子アンテナを提案し, 従来のダイポール型に比べて無線タグからの応答信号強度を約10dB強くすることができることを示している.また, このアンテナを用いることにより, 従来は利用が難しかった比較的大きな容量性の可変インピーダンス素子を応答用に利用することが可能となり, 無線タグの小電力化と低電圧動作を実現できることを示している.無線タグの受電部は, 入力インピーダンス50Ωで動作し, -20dBmのRF入力を無線タグ応答回路の動作条件である0.6V, 2μAまで昇圧整流することができることを明らかにしている.試作された無線タグのサイズは, 950MHz帯が名刺サイズ, 2.45GHz帯が名刺の1/4の面積である.
著者
斎藤 雄介 眞田 幸俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.396, pp.1-6, 2007-12-12

IR-UWBを用いた測距システムでは,パルス幅1[ns]程度の信号を使うことで高い距離分解能を持った測距システムが実現可能となる.UWB測距システムにおいては,低コスト化,低電力化を目指し様々な提案がなされており,その中のひとつに高速コンパレータを用いた測距システムがある.このコンパレータを用いた測距においては,信号の平均化によりパルスを取り出す作業が必要であるが,平均化に対するクロックずれの影響は考慮されてこなかった.そのため本報告では,クロックのずれがシステムに与える影響をシミュレーションによって評価した.またクロックずれの影響を緩和する二段階平均化法を提案する.
著者
近藤 俊介 庄納 崇 中川 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.415, pp.35-40, 2006-12-07
被引用文献数
1

ダウンリンクにおける次世代移動通信システムとしてOFDMAとMC-CDMAが注目を集めている.これらの技術の共通の問題点として,同一周波数帯を使用している隣接セルからの信号が干渉となり,特にセル端において性能が急激に劣化してしまうことが挙げられる.MC-CDMAでは,周辺セルからの干渉を低減するために,スクランブル符号を乗算することによって干渉を雑音化しセルを識別する.一方でOFDMAでは,周辺セルからの信号が直接干渉となり,SIRが大きく低下してしまう.そこで,セルの中心部とセル端とで使用する周波数帯を変えることによって,周辺セルからの干渉を低減する方法として提案されているFRPA技術を用いる.この技術を使用することで,FRF=1の場合に近い効率を実現でき,かつセル端で問題となる干渉の影響も周辺セルで使用している周波数帯と異なるために小さくすることができる.本稿では,FRPA技術を適用したOFDMAとスクランブル符号の使用によってセルを識別するMC-CDMAの比較を行う.比較は計算機シミュレーションを用いて行い,多重ユーザ数,所望基地局と端末との距離に対する平均BER特性によって評価を行う.
著者
小熊 博 山形 文啓 福田 啓一 浅野 安良 山崎 吉晴 亀田 卓 中瀬 博之 高木 直 坪内 和夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.415, pp.41-46, 2006-12-07
被引用文献数
6

我々は、広域モバイルブロードバンド無線通信システムの一つであるFLASH-OFDM(Fast Low-latency Access with Seamless Hand-off)方式を活用し、宮城県仙台市中心街をフィールドとした実証実験を展開している。単セクタ内で静止状態及び自動車による移動状態における受信電力、SNR及びスループットに関して評価し、自動車による移動状態においても、Down-Linkにおいて、最大2.6Mbpsのスループットが得られた。さらに、基地局から約1kmの範囲で1Mbpsのスループットが得られることがわかった。
著者
羽渕 裕真 小野 文枝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.400, pp.49-54, 2003-10-24
被引用文献数
22

本稿では,情報変調としてコードシフトキーイング(Code Shift Keying, CSK)方式に着目し,拡張プライム符号系列を用いる光CSK/SS(Code Shift Keying/Spread-Spectrum, CSK/SS)方式を提案している。本方式の情報伝送速度,ビット誤り率特性,多元接続性能について理論解析している。さらに,情報変調にオンオフキーイングを用いる光OOK/SS方式と比較検討している。その結果,本方式は,情報変調としてオンオフキーイング(On-Off Keying, OOK)方式を用いる従来方式よりも情報伝送速度をIog_2M(Mは1ユーザ当りの符号系列数)倍に向上できることが示されている。さらに,本方式では割り当て符号系列数を増加することで性能向上が図れることが明かにされている。シングルユーザ環境ではM=4の本方式とOOK方式が同程度のビット誤り率特性となることが明かにされている。したがって,シングルユーザ環境では,CSK方式はOOK方式よりも情報伝送速度及びビット誤り率の両面で優れていることが明かにされている。マルチユーザ環境では,本方式は拡張プライム符号系列のグループ特性とCSK方式の最大値判定法により,干渉キャンセラを利用せずに他ユーザからの干渉の影響を軽減できる。
著者
亀田 卓 山口 敦由 福與 賢 中瀬 博之 高木 直 坪内 和夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.620, pp.31-36, 2006-02-22
被引用文献数
9

多数のタグが存在するRFID (radio frequency identification)やセンサネットワークシステムにおける,高速ID (identification)識別方式の検討を行う.タグ存在確認を行うランダムアクセス試行に1ピットのフラグを用いることで通信に要する情報量を最小化し,ID識別処理の高速化を図った.その結果,従来のISO/IEC (International Organization for Standardization and International Electrotechnical Commission)標準規格のID識別方式に比べ,最大で10倍程度の高速化が可能であることを示した.
著者
羽多野 裕之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.166, pp.31-36, 2008-07-18
被引用文献数
1

高度交通システム(ITS:Intelligent Transport System)実現のための要素技術の一つである近距離障害物検出システムとして,駐車支援のためのレーダネットワークの構築を検討している.特に測距装置として,安価で信号処理が簡単な超音波レーダを利用した構築を行う.本稿では,この要素技術である超音波アレイエミッタと位置推定アルゴリズムについて述べる.超音波アレイエミッタは,一般的な超音波エミッタが問題として抱える送信出力の不足を,複数のエミッタ素子を用いることで解決を図る.特に,提案手法では各エミッタ素子への信号を制御することにより駐車支援で必要とされる領域に隈なく出力の増幅が可能となる.位置推定アルゴリズムでは,高精度な位置推定と複数障害物の検出とを実現するために,確率演算に基づくアルゴリズムを述べる.本アルゴリズムでは,測距値と各センサの測距誤差特性,各センサの位置を利用した確率演算から導かれた障害物の存在確率分布によって障害物の位置を推定する.また,以上の要素技術を実装した試作機を通した特性評価についても述べる.