- 著者
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鈴木 啓助
- 出版者
- 一般社団法人 日本生態学会
- 雑誌
- 日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
- 巻号頁・発行日
- vol.58, no.3, pp.175-182, 2008
- 被引用文献数
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我が国の日本海側地域のような多雪地域では、降雨にもまして降雪によってもたらされる多量の降水が水資源として極めて重要になる。また、雪は冬期間流域内に堆積することにより天然のダムとしての役割も果たしている。山岳地域では低地よりも多くの降雪があることは定性的には推定されているが、量的に議論することは様々な困難を伴う。さらに、風の強い山岳地域では、降雪粒子の捕捉率が低下するため正確な降水量の測定もできない。山岳地域の降雪を含めた降水量を定量的に把握し水収支を明らかにすることは、水資源の観点からも重要である。また、我が国における降雪量が、地球温暖化とともに減少するとの予測結果も報告されている。しかしながら、これらは標高の低い地点のデータを用いて行った研究であり、標高の高い山岳域でも同様なことが言えるかどうかは疑問である。標高の高い山岳地域では、降雪量が増加するとも考えられるのである。なぜなら、気温の上昇によって大気中の飽和水蒸気圧も増加するから、可降水量は増加し、気温は氷点下のため降雪粒子が融けて雨になることもないからである。