- 著者
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吉見 宏
- 出版者
- 北海道大学
- 雑誌
- 經濟學研究 (ISSN:04516265)
- 巻号頁・発行日
- vol.58, no.4, pp.217-222, 2009-03-12
我が国の内部統制監査は,日本版SOX法とも呼ばれる,一連の制度整備によって2008年度から本格的に導入された。これはアメリカにおけるSOX法をモデルにしたとされるものの,我が国の場合には1つの法としてではなく,金融証券取引法等の該当条文及び,各種基準等を総称したものである。その中核となるのがいわゆる「内部統制基準」である。 本稿は,その制定に当たって,米SOX法の制定の契機となったエンロン事件に相当するものが我が国に見られるのかを検証するものである。ここでは,西武鉄道,アソシエント・テクノロジーの事例を中心に,大和銀行等の事例も検討対象とし,これらの不正事例の発覚と,内部統制基準の制定との連関が,エンロン事件と米SOX法ほどには明確にはみられないものの,制度制定の促進要因となっていたことを見るものである。