著者
大日方 真史
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.381-392, 2008-12

教育の私事化が進行する今日、学校教育の公共性の意義が根底から問いなおされており、公共性を実現する場および主体、そして教師の専門性がいかに構成されうるかは、重要な課題となっている。本稿は、そうした課題を捉えて、教育の公共性再構築の道筋を、教師・保護者間対話を成立させる教育実践の可能性に探るものである。対象として取り上げるのは、学級通信を継続的に発行する教師の実践である。考察にあたっては、公共性に関するハンナ・アレントの論を援用し、加えて「親密圏」概念を参照する。本稿を通じて、公共性における重要な局面として、保護者間の関係形成過程を含み込んだ対話の成立と、保護者の声が発せられる場の生成に着目し、それらの条件を明らかにする。さらに、教師・保護者間対話の成立における教師独自の専門的な位置と役割を明らかにして、公共性の実現可能性を見いだす。

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