著者
小林 直弥
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
no.43, pp.27-38, 2006

日本における「舞(まい)」の始源的要素の中には、常に為政者(皇帝・天皇)への「服従」とシャーマニズムを伴う「舞」行為が存在する。その中でもとりわけ特異な存在が「八〓舞」である。この「舞」は、古代中国をその源とし、韓国における「雅楽」においては、中心的な役割を果たしている。が、8列8人、総勢64名による「八〓舞」は、日本では『日本書紀』に記載されるものの、宮中に現存する「雅(舞)楽」には何故か、その存在がない。そこには、日本が中国や朝鮮半島からの外来芸能や文化から、いよいよ独自の文化を形成する方向へ進む、歴史の流れが隠されており、また、儒教思想と仏教思想のどちらを国家が選択したかなど、さまざまな歴史的背景も読み取れるのである。本研究では、わずかな記述のみに残る「八〓舞」を中心に、日本の宮廷楽舞の始源的要素について考察したものである。

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