著者
大田 伊久雄
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.28-40, 2008-07-01
参考文献数
9
被引用文献数
1

ポーランドの国有林は,我が国とほぼ同じ約700万haの面積を持つ,ヨーロッパで最大規模の国有林である。これを管理する組織LP(国営企業「国有林」)は,政府からは独立した非営利の経営体であり,森林法に定められた目的に従って国有林の管理を任されている。LPにおける国有林管理は,徹底した現場重視の姿勢に特徴があるが,硬直したピラミッド型組織にも見える職階体制とのギャップが興味深い。本論文では,中央総局・地方局・森林区という3つのレベルにおける国有林管理業務の実態調査を通して,ポーランド国有林における森林管理の全体像の把握を試みた。さらに,LPによる国有林管理の優れた点および成功要因を探り,加えて現在直面する問題点および組織に内在する課題について考察した。近い将来に解決すべき課題を残しつつも,LPは安定した組織体制のもとで国有林を管理経営している,と結論づけることができる。

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