- 著者
-
青木 三郎
生沼 郁
- 出版者
- 地学団体研究会
- 雑誌
- 地球科学 (ISSN:03666611)
- 巻号頁・発行日
- vol.27, no.1, pp.35-39, 1973
日本海山陰沖大陸棚上33地点から得たドレッヂ試料中に含まれている粘土鉱物をX線回折法によって調べた.2μ以下の部分に含まれている粘土鉱物は,モンモリロナイト,クロライト,イライトおよびカオリナイトである.イライトはすべての試料中でもっとも優勢な鉱物であり,その平均含有量は54%である,クロライト,カオリナイト,モンモリロナイトの平均含有量は,各々24, 12, 11%である.研究海域の粘土鉱物組成は,東シナ海堆積物のそれによく似ている.このことは,東シナ海から当海域を通って日本海北部へ流れる対馬暖流が運搬する細粒物質が,当海域の堆積物中の粘土鉱物組成に反映していることを暗示している.モンモリロナイトの含有量が相対的に少いのは,おそらく当海域への火山物質の供給が少いためと思われる.