著者
島弧深部構造研究グループ 赤松 陽 原田 郁夫 飯川 健勝 川北 敏章 小林 和宏 小林 雅弘 小泉 潔 久保田 喜裕 宮川 武史 村山 敬真 小田 孝二 小河 靖男 佐々木 拓郎 鈴木 尉元 鈴木 義浩 山崎 興輔
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.9-27, 2009
参考文献数
11
被引用文献数
2

島弧深部構造研究グループは,気象庁2006年刊行の地震年報によって,日本列島とその周辺地域で1983年から2005年までに発生した地震の震源分布を検討した.そのうち100km未満の地震はM4.5以上,100km以深の地震についてはM3以上のものを取り上げ,陸上は400mごとの等高線,海域は400mごとの等深線で示された地形図上にプロットして検討資料とした.震源の空間的な分布を明らかにするために,地震の分布する空間の下底の等深線を描いた.等深線は,北海道から千島列島に沿う地域では千島・カムチャツカ海溝付近から北西方に,本州に沿う地域では日本海溝付近から西方に,伊豆・小笠原諸島に沿う地域では伊豆・小笠原海溝付近から南西方に,九州ないし南西諸島とその周辺地域では,琉球海溝付近から北西方に次第に深くなるような傾向を示す.より細かく検討すると,等深線は単純ではない.等深線中に,直線状ないし弧状に走り,隣の単元に数10kmあるいはそれ以上に不連続的に変位する単元を識別できる.このような不連続部は,北海道・千島列島地域では北西-南東方向に走り,各深さのこのような不連続部は雁行状に並ぶ.これらの不連続変位部に境された一つの単元の拡がりは100ないし400kmである.より大きな不連続線として国後島の東縁付近と北海道中央を通るものが識別される.千島海盆付近で等深線は南東方に張り出しているが,これは千島海盆付近で震源分布域が下方に膨らんでいることを示す.本州東北部と,日本海の東北部および中央部では,直線状あるいは弧状に走る等深線を北西-南東と東西方向の不連続線が切る.これらによって境された単元の拡がりは100ないし200kmである.より大きな不連続線として,日本海南西部から本州の中央部を走る線が識別される.伊豆・小笠原諸島地域では,直線状あるいは弧状の等深線を切る不連続部は東北東-西南西方向をとる.これら不連続変位部に境された単元の拡がりは数10ないし200kmである.より大きな不連続線として伊豆・小笠原諸島北部と中央部を走るものが識別される.九州・南西諸島とその周辺地域では,直線状あるいは弧状の等深線を切る不連続部は東北東-西南西方向に走る.これら不連続部に境された単元の拡がりは80ないし250kmである.より大きな不連続線として大隈諸島と奄美大島間を走る線が識別される.このように,和達・ベニオフ面とよばれるものは地塊構造を暗示させる垂直に近い線によって境された,より小さな分節にわかれることが明らかになった.
著者
鈴木 秀史
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.129-139, 2022-07-25 (Released:2022-09-02)
参考文献数
59

長野県の北部フォッサマグナ別所層に相当する上田市北部の中部中新統伊勢山層からミズウオ類の頭部の化石が発見された.口蓋骨歯の特徴に基づいて化石標本と現生同類との比較・検討を行った結果,化石はヒメ目ミズウオ亜目( Aulopiformes, Alepisauroidei)に属するポリメリクチュス科ポリメリクチュス属の一種であることが判明した.同属魚類化石の報告は国内では約 50年ぶりで世界では 5例目となる.今回の発見によりポリメリクチュス属は 15.1~13.1 Ma(Langhian)か,あるいは 15.1~12.6 Ma(Langhian~ Serravalian)までほぼ連続的に生存していたことが示唆される.他の産出層準の堆積環境とも比較すると同属は深海から浅海にかけての移動域をもつ中深層遊泳性か,あるいは,浅海性である可能性が考えられる.ポリメリクチュス属は日本近海では少なくとも 15.1~12.6 Ma(Langhian~ Serravalian)の暖流影響下の深海域に広く点在し,前期中新世の内山期には北部フォッサマグナの南方で南に開いていた古太平洋の深海域にも生息していた.古太平洋には現在と類似する太平洋型の魚類群集が存在し,ポリメリクチュス属はそのメンバーの一員だった.前~中期中新世の内村期になると,当時陸だった北部フォッサマグナ地域は急激に沈降し,太平洋と日本海をつなぐ中部漸深海帯以深の連絡水道が形成され,古太平洋からポリメリクチュス属や深海性魚類が表層暖流や低層水とともに徐々に北上してきた.上田地域は深海水道の中央にあたり,そこでポリメリクチュス属を含む魚類は新たな生息域を獲得し,他の暖流系浅海性魚類とともに太平洋型の魚類群集を形成していった.
著者
伊藤 陽司 山岸 宏光
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.43-53, 1996-01-25
被引用文献数
2

北海道東部,知床半島の硫黄山から羅臼岳を経て天頂山に至る稜線部には羅臼岳断層系と呼ばれる活断層が知られている.詳細な空中写真判読と航空機による空からの目視調査によって,半島先端域の知床岳の稜線部と半島中央域の知西別岳〜遠音別岳の稜線部に新たな活断層:知床岳断層系および知西別岳-遠音別岳断層系を見い出した.これら活断層は第四紀溶岩流や溶岩ドームの原面を変位させた断層崖,低断層崖,逆向き低断層崖および地溝で特徴づけられる.知床半島の活断層には特徴的な地質現象との関わりからみると,(1)地溝を形成する正断層群とこれから噴出した溶岩流・溶岩ドームやこれに沿う火口で特徴づけられる火山活動に関連したもの,(2)火山活動の痕跡が認められず,地震と関連ありそうなもの,そして(3)ランドスライド発生に関連したものの3つがある.
著者
佐藤 隆春 大和大峯研究グループ 奥田 尚 佐藤 浩一 竹内 靖夫 南浦 育弘 八尾 昭
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.403-413, 2006-09-25
被引用文献数
12

紀伊山地中央部の秩父帯は大峯-大台スラストで四万十帯の構造的上位にある.大峯-大台スラストは弧状および半円形断層で変位している.秩父帯は東西幅30km以上の弧状断層および直径15km以上の半円形断層の内側にみられる.両断層は同心円状の形状を示す.安山岩と安山岩-石英斑岩複合岩脈からなる弧状岩脈群が弧状断層の内側に貫入している.半円形断層の外側に並行して火砕岩岩脈群が貫入する.中生界(秩父・四万十帯)は両断層と火砕岩岩脈群の内側が数百m陥没する.これを大峯・大台コールドロンと命名する.前者は弧状断層で囲まれる.後者は半円形断層と火砕岩岩脈群で囲まれている.これらの特徴はコールドロンが連続して形成された二重のコールドロンであることを示す.コールドロンにともなわれる岩脈群の放射年代はこれらが中期中新世に形成されたことを示す.大峯・大台コールドロンの形成機構は大量の火砕岩の噴出によるピストンシリンダータイプの陥没と考えられ,特に大台コールドロンはトラップドアタイプの陥没と考えられる.紀伊山地中央部の秩父帯はこれらのコールドロンの内側に残存する中生界である.紀伊山地の隆起と侵食により,これらのコールドロンから噴出したカルデラ充填火砕岩層はコールドロンの周囲には残っておらず,カルデラ床を構成していた中生界が露出するにいたった.
著者
中条 武司 中西 健史 前島 渉
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.473-484, 1993-11-25 (Released:2017-06-06)
被引用文献数
3

The early Middle Miocene Togane Formation is one of the Miocene basin-fills in the Setouchi Province of Southwest Japan. Togane sedimentation took place during eustatic sea-level rise in the Early to Middle Miocene. The Togane Formation unconformably overlies the Paleogene Kokufu Volcanic Rocks. The formation is 200m thick, and is lithostratigraphically subdivided into four members in ascending order: the Toganegawa Mudstone, Anegahama Sandstone, Kanaso Conglomerate and Sandstone, and Tatamigaura Sandstone Members. The Toganegawa Mudstone Member (up to 70m thick) is dominated by massive mudstone with a conglomerate unit at the base. The Anegahama Sandstone Member (65m thick) is mainly composed of fine- to medium-grained sandstone with subordinate muddy sandstone and conglomerate. The Kanaso Conglomerate and Sandstone Member (20 to 30m thick) shows a remarkable N-S facies change. In the south, the member is characterized by a thick succession of conglomerates, which interfinger with coarse-grained, pebbly sandstones to the north. The Tatamigaura Sandstone Member (more than 40m thick) consists of fine- to medium-grained sandstone and muddy sandstone. The Togane Formation appears to infill a N-S oriented depression in the basement rocks, with the basin configuration controlled by the preexisting topography. The Togane basin developed due to regional downwarping in the Setouchi Province.
著者
柴崎 直明
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.267-282, 2015-09-25 (Released:2017-05-12)
被引用文献数
4

2011年東北地方太平洋沖地震により引き起こされた,東京電力福島第一原子力発電所の深刻な事故から4年が経過したにもかかわらず,汚染水問題は解決していない.この問題は原発の廃炉作業のために解決しなくてはならないものの,かえって汚染水に関係する様々な問題が発生している.たとえば,原子炉およびタービン建屋に流入する地下水量を減らすための対策として運用されている地下水バイパスは,当初の想定よりも効果が低い.敷地付近の複雑な地質・地下水条件に関する調査や理解が不足して,東電や国が作成した水文地質断面図や地下水シミュレーションモデルは極めて単純なものになっている.そこで,福島第一原発敷地内の公開されたボーリング柱状図を活用して,主に泥岩や砂岩からなる大年寺層D4の層相を解析し,局所的な範囲でも層相が大きく変化するとともに,地下水の流動状況を左右する可能性があることを明らかにした.また,福島第一原発の地質概要や汚染水のタンクの地盤問題,地質や地下水データの問題やそれに関係する地下水モデル解析の問題をレビューした.さらに,現在進めている建屋への地下水流入量削減のための地下水バイパスや凍土壁の建設,サブドレンの運用等に関する地質学的課題を指摘した.
著者
柏崎ナウマンゾウ研究会
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.161-176, 1991
被引用文献数
1

Palaeoloxodon naumanni (Makiyama) was found in the Upper Pleistocene Yasuda Formation at Kashiwazaki City, Niigata Prefecture, in the Japan Sea borderland. Juding from the fact it forms widely developed terraces and contains temperate-wet macroscopic plant remains, and from the thermoluminescence dating (Hashimoto and Habuki, 1989), the Yasuda Formation is considered to be the deposits of the last interglacial age. This fossil Naumann's elephant was described and several fossil remains were analyzed. In this paper, some morphological features of this Naumann's elephant and his life palaeoenvironment at a local area in the last interglacial age were discussed. 1) A pair of tusk and a pair of upper first molar were separately detected in two horizons of the Yasuda Formation. The individual with tusk is a possiblly mature male elephant of which hight of shoulder is over 2.5m, and one with molar is a possiblly mature elephant 15〜18 years old of which hight of shoulder is 1.5m〜2m. 2) From the distribution of the Yasuda Formation, these individuals seem to have been buried in the deepest area of valley. 3) The Yasuda Formation around this area was mainly deposited under fresh water conditions with a little effect of marine water. Unio douglasiana, Trapa incisa and T. macropoda flourished in this stagnant pool. 4) Predacious ground bettle (ex. Carabas insulicola) and Coprophagous bettle (Copris tripartitus) inhabited, and Styrax obbassia, Stewartia pseudo-camellia flourished in the hills or on the shore where Naumann's elephants were living. Fagus crenata and Quercus sp. flourished in the mountainous area. 5) The climate when Naumann's elephants were living, is considered to have been nearly same as that around present Kashiawazaki City, from fossil bettle, macroscopic plant remians and fossil pollen assemblages. 6) The absence of distinct marine fossils suggests the existence of some barieer disturbed the entrance of marine waters in present Japan Sea area.
著者
吉村 尚久 赤井 純治
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.137-154, 2003-06-25 (Released:2017-07-14)
被引用文献数
5

自然状態での地下水のヒ素汚染は世界的問題となっており,特に沖積滞水層では深刻な健康障害をもたらしている.本総説では土壌及び堆積物中のヒ素の挙動の概略を述べ,ヒ素の起源・濃縮・溶出及び微生物活動とのかかわりなどについて述べた.堆積物からの溶出メカニズムについては詳しくレビューした.最も深刻なヒ素汚染地域であるバングラデシュと西ベンガルでのヒ素汚染メカニズムを要約し,問題点を指摘した.内蒙古河套平野のヒ素汚染についても言及した.
著者
石賀 裕明 井本 伸広
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.333-345, 1980-11-25
被引用文献数
1

丹波地帯の3地点のチャート層および,珪質頁岩層より得られた二畳紀放散虫化石Albaillellidae科のうちPseudoalbaillella属,Follicucullus属およびAlbaillella属について種の記載および群集の推移の検討をおこなった.兵庫県多紀郡篠山町藤岡奥では,下位より上位へと,Pseudoalbaillella群集からFollicucullus群集に推移する.Pseudoalbaillella群集はさらに下位より,Ps. U-forma-Ps. elegans亜群集,Ps. lomentaria-Ps. longuscornis亜群集および,Ps. sp. A-Ps. rhombothoracata亜群集に3分される.京都府北桑田郡京北町芦見谷では,下位よりPs. U-forma-Ps. elegans亜群集およびPs. lomentaria-Ps. longuscornis亜群集が認められた.京都府北桑田郡京北町田尻谷では,Follicucullus群集が認められた.また,コノドント化石および北米におけるAlbaillellidae科放散虫化石との比較にもとづき地質時代の推定をおこなった.その結果,篠山町藤岡奥のチャート層は二畳紀ウルフキャンプ世〜ガダループ世,芦見谷および田尻谷についてはそれぞれ,ウルフキャンプ世,ガダループ世を示すことが明らかにされた.
著者
秋山 雅彦
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.139-147, 2004-05-25
参考文献数
36
被引用文献数
2

地球大気のCO_2濃度と地球表層の温度との間には密接な関係が存在することから,温暖化はCO_2を排出する化石燃料の燃焼によってもたらされ,地球温暖化対策が国際的な課題として取り上げられてきている.しかし,大気中のCO_2が温室効果に果たす役割は,現在の濃度ですでに飽和になっているため,今後のCO_2濃度の上昇は地球温暖化には影響しない,とする見解も提出されている.しかし,この見解は一般には問題視されていない.もし,この見解が科学的に正しいとするならば,地球温暖化対策は大きく軌道修正を迫られることになる.地質時代における地球大気組成の変遷史を検討すると,確かに,大気中のCO_2濃度と気温との問には密接な関連が浮かび上がってくる.しかし,両者間の原因と結果という因果関係については明らかになっていない.地球温暖化の原因は化石燃料の燃焼である,と断定する前に,太陽活動の変化にともなう気候変動を含め,科学的にその因果関係を解明するための努力がなされなければならない.
著者
佐藤 二郎 井尻 正二
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.149-155, 1977

The purpose of the present article is to describe the mode of occurrence of the molar teeth M3 of Paleoparadoxia tabatai (TOKUNAGA) from "Wainai site" and to consider its archaeological significance. 1) Wainai site is situated on the river terrace at Wainai, Niisato-village, Shimohei-district, Iwate Prefecture, Northeastern Japan. This terrace might be formed at Wurm stage. 2) There are two cultural layers in the terrace deposits at Wainai site. Judging from designs and types of the ceramic tools accompanied, the lower and upper cultural layer may be of the latest Jomon Period and the latest Jomon or the earlist Yayoi Period respectively. Taking into account the circumstances at the time of excavation, it is presumed that the molar teeth were picked up from the lower cultural layer. 3) Among the strata developed in the vicinity of the Wainai site, the Oligocene Kogawa group, especially the Sawamagari formation distributed in Iwaizumi town, Iwate Prefecture is the most probable as the original horizon yield the molar teeth, although it is impossible to make sure the locality of the original fossil. 4) Based on the paleontological and archaeological experiences, the teeth seem to have been collected and processed in order to make the knocknack by the latest Jomon man. If this inference is correct, the teeth are the oldest Desmostylid specimen in Japan collected and processed by the pre-historic humanbeings.
著者
後藤 仁敏 サメの歯化石研究会
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.361-374, 2004-11-25
参考文献数
48
被引用文献数
3

現生のラブカChlamydoselachus anguineusは,現生板鰓類のなかで最も原始的な解剖学的特徴を残したサメである.これまでの記録では,ラブカ科の最古の化石は南極のジェームスロス島の白亜紀後期(Campanian)の地層から産出したChlamydoselachus thomsoniであった.本論文では,日本産のラブカ属12本の歯化石にもとづく6種を記載した.すなわち,白亜紀後期(Turonian〜Maastrichtian)の地層から5種(10標本),第三紀中新世の地層から1種(2標本)である.Chlamydoselachus sp. 1の小型の歯は北海道三笠市の上部蝦夷層群(Turonian-Coniacian)と,夕張市鹿島の上部蝦夷層群(Santonian)から産出した.Chlamydoselachus sp. 2の小型の歯とChlamydoselachus sp. 3の大型の歯は,熊本県天草郡竜ケ岳町の姫浦層群樋之島層(Santonian)から産出した.Chlamydoselachus sp. 4の大型の歯とChlamydoselachus sp. 5の超大型の歯は大阪府貝塚市と泉南市昭和池の和泉層群畦ノ谷層(Maastrichtian)から産出した.Chlamydoselachus bracheriの歯は,群馬県富岡市の富岡層群井戸沢層(前期中新世)と同県安中市の富岡層群原田篠層(中期中新世)から産出した.また,ラブカ類の系統発生的関係と古環境の変化について考察した.すなわち,白亜紀後期には大型から小型のラブカ類が浅い海に生息していたのに,中新世になると比較的深い海に中型以下のラブカが棲むようになったことが推定される.
著者
平山 次郎 鈴木 尉元
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.43-62b, 1968-03-25

A sedimentological study was made of the Flysch-type alternations of Otadai formation, Kazusa group deposited in the central part of the Boso peninsula in upper Pliocene epoch (Fig. 2). The formation consists of rhythmic alternation of sandstone and mudstone and the relative amounts of the two rocks vary in places. Each layer is correlated for more than 30 km in extent, as it has their own characteristics in thickness, texture, composition and colour and is arranged in similar manner at the neighbouring sections (Fig. 3, 4). Several key beds of tuff are the most important in the correlation because of their distinct features. The shape, textural distribution and grain size variation in the layers has been definitely shown by the method stated above. The thicker each layer of sandstone is, the more spacial extent it acquires in general. The layer over 10 cm in thickness at the thickest part reaches more than 30 km in extent. It is asymmetrical in shape owing to the more rapid decrease toward west (Fig. 6). On the other hand, the thickness of mudstone layers increases gradually toward west within the studied area but seems to decrease very rapidly westward (Fig. 5). It is concluded that the thickness variation of sandstone and mudstone assembly is determined by sandstone, that is, the layers of sandstone are very sensitive to the subsidence of the basin. Of course, the subsidence is the neccessary condition for the formation of layers. A layer consists of lamina which are units of mass movement of grains, as will be seen from the Photo. 1. A relatively thick sandstone layer is divided into three intervals based on the nature of lamina, namely, massive graded, parallel-laminated and cross-laminated intervals from the base respectively. But a thin sandstone layer is devoid of massive graded interval and/or parallel-laminated intervals. The arrangement of these lamina is closely related to the thickness variation of a layer (Fig. 6). The grain size distribution and consituents in a layer are also related to the textural arrangement as well as the shape (Fig. 9). The boundaries of textures are nearly parallel to the isometrical lines of median diameter of grain size and sorting coefficient. Shell fragments are concentrated at the bottom of the graded interval, while pumice and plant fragments are often seen in the parallel and cross-laminated intervals. The grain size variation in the mudstone layer seems to be more monotonous and the mean size and sand grain content gradually decrease toward west. As will be known from the fact stated above, sandstone layers are very different from mudstone layers in many respects. And it is observed that the sandstone layer is formed by different way from the mudstone. The inference is substanciated by the difference of faunal assemblages found in both layers. The sandstone has the shell fragments and worn-out foraminifers which are found in the upper neritic zone in the recent environment, while molluscan shells and foraminifers contained in the mudstone are similar to the fauna living in the bottom over 400 m in depth in the Pacific off the Boso peninsula. This fact indicates that sand deposited temporarily under the bottom of shallow sea is transported into the bathyal environment where mud is usually deposited. The direction of current transporting sand grains should be from west to east as is assumed from the sole markings developed under the bottom of sandstone layers and cross laminations (Fig. 10). The nature of flow is inferred from the result of laboratory experiments and observations of alluvial channels. It is controlled by many variables such as depth, slope, size and shape of grains, viscosity and density of sediment-water mixture, etc. So the concept of flow regime (SIMONS & RICHARDSON, 1961) is very useful as it allows grouping of the combined effects of those factors. The classification of flow regime is based on form of the bed configuration, mode of sediment transport, process of energy dissipation and phase relation between the bed and water surface (Fig. 11). According to these elements, it is divided into lower and upper flow regimes (Fig. 11). In the lower flow regime, lamina which are horizontal or inclined 10 degrees or less down stream are well developed, while lamina is not distinct in the upper regime since amount of sediment transported by the flow increases and is not sorted. These changes of lamina might correspond to the textural arragement in a sandstone layer, from the base upward, massive graded, papallel laminated and cross-laminated intervals. It shows that a sandstone layer is formed by a flow which diminishes its energy gradually. Sand mass deposited in the shallow sea collapses just like a landslide and then slides down the slope which is maintained by the subsidence of the basin. It fills the subsiding areas and the relatively flat slope is formed and then mud particles fall down uniformly on it. During the deposition of mud, subsidence of the ground is continued and the depositional areas for sandstone are prepared.
著者
硬砂団体研究グループ
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.17-30, 1984-01-25 (Released:2017-07-26)
被引用文献数
1

Katazuna Bed found in a scattered pattern around the Omiya Upland is very indurated as compared with other Quaternary sand deposits. Its stratigraphy and sedimentological properties are examinated and discribed. The results are summerized as followings. 1) Katazuna Bed distributes in slightly high areas in comparison with the surroundness, and occurs in a thin ribbon or pod form with less than 2 m in thickness, 0.7 to 2km in width, and 2 to 5 km in length, and elongated in NNW to SSE. 2) Katazuna Bed covers the tuffaceous sand "Nukazuna Bed" conformably which is deposited under the fresh water conditions and is also covered conformably by upper Shimosueyoshi Loam formation composed of air fall deposits. Katazuna Bed is deposited about the fall stage of "Kuriyokan Pumice" (: KuP.). 3) Katazuna Bed is composed of well sorted sand grains and has white tubular materials composed of alophen clay with 2 or 3 mm in diameter, and may have been indurated by imogolite as cement materials. Based on above-mentioned results, the sedimentary environment of Katazuna Bed is in-ferred as followings. 4) Katazuna Bed is formed as the result of the regression of Paleo-Tokyo Bay and the bed is important as an environmental indicator of the time. We think that in the central part of the Kanto Plain the prevailing winds transported sand grains composing Nukazuna Bed, and formed the Katazuna Bed as small river dunes or thin sand layers.