著者
丸山 茂徳
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.255-270, 1979

四国東部秩父帯の沢谷緑色岩岩体は古生代末の海底火山体である.火山体は上部石炭系東浦層上に形成され,多数のフィーダーダイクは火山体中心部及び下位の東浦層中に観察される.第I期にはアルカリ玄武岩が活動し,2つの循状火口丘をもつ火山を形成した.その後小休止期を経て2つの火口丘のうちの1つの上に新期火口丘が形成されたが,マグマの組成は第I期のそれよりもアルカリが少なく海洋性ソレアイトに似た組成であった.噴出物量は第I期680km<sup>3</sup>,第II期20km<sup>3</sup>である.火山活動と同時に火山体周辺では砂粒サイズの酸性物質が堆積しそれらは再動ハイアロクラスタイトと火山体縁辺部で互層する.火山体が基盤から3.7kmの高さまで成長した時に頂部は海面上に現われ,礁性石灰岩と火山岩礫岩層が頂部の周辺に形成された.火山体を構成する枕状溶岩は最小径/最大径比で第8図の様に分類される.マトリックス比,急冷による割れ目の発達度,気泡の上部濃集度,ガラス皮殻の厚さは上述比の増大に伴い大になる.ハイアロクラスタイトはマトリックス占有率により幾つかのタイプに区分できるがその値は枕状溶岩の最大値10%に比べてハイアロクラスタイトの最小値は約30%であり両者の断絶は次の様な成因を意味している.枕状溶岩流はその前面でピローを生産し,既製のピローを敷いて前進する.ピローは同時に溶岩流の上面においても溶岩岩脈を通路として形成され,結果として生じたピローパイルは安息角の10°を越える.火山活動の小休止期にそのパイルは崩壊しハイアロクラスタイトを形成する。火山体は三波川変成作用の低温部と思われるパンペリー石アクチノ閃石相の変成作用を受けた後,上昇し現在はその頂部を含めた断面を四国東部秩父帯に露出している.

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