著者
大西 一嘉 原田 哲也
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.4, pp.209-213, 1994-08

本研究は災害弱者施設での防災対応のあり方に関する研究の一環として行ったものである。死者119人を出した1993年鹿児島水害における保育所での対応をアンケート調査によって考察し、被災事例を通じて今後の計画的対応の必要性を指摘している。水害は地震や火災と異なり、人的・物的被害にいたるまでの時間的猶予があるため、比較的事前対応が取りやすいといわれている。注意報や警報などの気象警報、あるいは避難勧告や指示、洪水警報や水防警報などの災害警報が、被害発生前に住民に伝達されることにより適切な災害対応行動を導くことも可能である。しかし現実には、水害時の避難行動は周辺が危険状態に移行したり、被害が顕在化した後や、身近な人の指示などがあってようやく開始されることが多いとの指摘があるように、予防的というより脱出的な行為に近くなる。従って、避難のタイミングを失った逃げ後れによる被害が後を絶たない。また土砂災害は洪水害に比べて突発性が高いため、大きな人的被害を招くことが少なくない。本研究では、1993年7月〜9月にかけての数度にわたる水害で多くの死者を出すなどの大きな被害を受けた鹿児島県を対象に、災害弱者である乳幼児を預る保育所における水害対応に着目して、防災対策における水防体制のあり方を検討した。調査方法としては、被災地区の保育所に対して郵送アンケートにより調査すると共に、退避・避難行動がみられた保育所については、電話によるヒアリング調査を併用して、避難の際の問題点や教訓を把握した。その結果、以下の点が明らかになった。鹿児島県地方では風水害のリスク認識が火災や地震と共に高いにもかかわらず、訓練を含めた予防対応が不十分であり、公立保育所に対して私立での対応がやや遅れている。弱者を抱える施設の場合、水害時には適当な避難場所の有無がスムーズな事前避難を左右し、避難場所が遠いと避難途上での被災を恐れて避難が遅れる傾向にある。避難所の選定方法や施設が備えるべき装備品についても各種の災害態様に応じて対応できるように考慮されなくてはならない。

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