著者
杉野 昭博
出版者
関西大学
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.47-61, 2008-03

日本では、社会福祉学は社会学の一部門として発展してきた。しかし近年では、両者はもはや別々の独立した学問と見なされることが多くなっている。本稿は、日本の社会福祉学の発展をふりかえり、社会学が寄与した点を二点指摘する。第一は、1960年代の「生活」や「コミュニティ」をテーマにした社会学研究によって、従来は所得水準にのみ関心を集中していた社会福祉学が幅広く「生活問題」や社会環境の問題にも関心を広げるきっかけを得たことである。第二は、心理学的分析が支持されることによって臨床心理士の仕事が増えるように、政府が社会学的分析を採用すればソーシャルワーカーの雇用が増えるという関係にあることである。したがって、社会学的なものの見方が20世紀の日本社会に徐々に一般化するにともなって、公的機関で雇用されるソーシャルワーカーが増加していったと考えることができる。今後の社会福祉学において期待される社会学的視点を用いた研究例として、福祉国家の社会史的研究と、個別援助実践の民族誌的研究と、社会福祉行政の政策過程分析の3つを示した。

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CiNii 論文 -  社会福祉学と社会学の視点 : 新たな関係に向けて(社会学部設立40周年記念特集) https://t.co/yxCdpeOeJz #CiNii

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