著者
杉本 是孝 中山 孝子
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.166-172, 2000-04-25

日本における博士の学位は,1887年に初めて勅令により公布され,現在すでに110数年を経過している.その間2回の学位令改定,さらに学校教育法の制定により極めて多くの受領者を輩出している.しかしながら,学位令公布の初期には,歯科医師は教育機関の関係から,永年にわたり大学院が認可されている医育機関に審査権をゆだね,医学博士の学位が授与されていた.1920年から1947年までの期間については歯科医師の立揚より検討し,極めて興味深い調査結果を得た.また,旧七帝国大学(とくに東北帝国大学)医学部において,歯科医師が初めて医学博士学位を授与された実態について,その概要を述べる.当時の学位取得への道はきわめて険しい道程であり,歯科医師の地位向上と偏見を取り除くために大きな原動力となったことが推察された.

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