著者
中西 啓
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.95-102, 2009
参考文献数
31

本研究は、ハミルトン・エリスによる鉄道客車デザインの発展史「NINETEENTH CENTURY RAILWAY CARRIAGES」における叙述を分析対象とする言説分析の試みである。分析対象に比較的多く記される事物の終焉時期を記す解説文に着目し、これらの解説文を記すことが分析対象に何をもたらしているかを考察する。分析では、はじめにこれらの解説文を記すことが発展史として妥当であるか検証する。次にこれらの解説文がデザイン史学において有用であるか考察する。分析には統計学および精神分析学の知見を援用した。統計学の知見を援用する分析からは、事物の終焉時期を記す解説文が分析対象の発展史としての妥当性を損なっていないことが分かった。精神分析学の知見を援用する分析からは、事物の終焉時期を記す解説文の中に、因果関係の説明に客観性をもたらそうとする有用な解説文があることが分かった。これらの分析結果は、事物の終焉時期を記すことの有用性が、デザイン史学の領野において展開できる可能性を示している。

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「言説分析によるデザイン史叙述の背景にある困難さ析出の試み」という危険なタイトルの論文を見つけてしまった。>「事物の終焉時期を記す…解説文を記すことが発展史として妥当であるかを検証…分析には統計学および精神分析学の知見を援用…」https://t.co/5pMQq15Rxa

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