著者
松本 清 佐久間 春夫
出版者
日本バイオフィードバック学会
雑誌
バイオフィードバック研究 (ISSN:03861856)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.47-53, 2009-04-25

本稿では,競争的状況におけるP300について,平均振幅の分析から得られた結果を確かめるために,主成分分析(PCA)を用いて分析された.P300は競争の結果を呈示することによって誘発され,その競争では競争心の高い被験者と低い被験者が見える相手または見えない相手とともに,予告刺激を伴う反応時間課題を行った.その結果,slow waveやPINVといった8つの主成分が抽出され,3番目の成分は競争結果の呈示後約300msでピークとなっていたためP300と同定された.P300の振幅を反映しているとされる成分得点について,被験者の競争心の高さ,相手の可視性,勝敗,頭皮上の分布の効果が調査された.競争心の高い人は,見えない相手との競争的状況の方が見える相手とよりもP300が増大した.競争心の低い人は,見える相手と競争した時の方が見えない相手とよりも,P300が増大し反応時間が短縮した.これらの結果は,競争心の高い人が競争的状況下では注意資源を分散させることによって活発に情報処理を行い,競争心の低い人の覚醒レベルが見える相手と競争する時に増加したことを示唆している.競争条件での負けた試行よりも勝った試行におけるP300の増大が全体的に観察され,このことは競争事態における課題が勝つことを目指して遂行されたことを示している.頭皮上の分布は,これまでに報告されているように,頭頂部よりも中心部に,左半球よりも正中部に優位であった.本研究の結果は先行研究の結果を支持し,競争的状況下の認知活動の新しい特徴を見出した.

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こんな論文どうですか? 競争の結果に関連したERPの構成成分について : 主成分分析法による,2009 http://ci.nii.ac.jp/naid/110007227171

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