著者
松本 清二 岩田 勝哉
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.35-41, 1997-05-26 (Released:2010-06-28)
参考文献数
13
被引用文献数
1

Paternal egg guarding and mouthbrooding of larvae and juveniles were observed in the swamp-eel, Monopterus albus. In aquaria, the male guarded and cared for eggs in the bubble nest floating inside a plastic tube (5 cm in dia-meter, 50 cm in length). It was suggested that spawning and fertilization occurred outside the nest tube, and that the male carried the fertilized eggs (ca. 4 mm in diameter) in his mouth and inserted them into the bubble mass. Until the hatching of larvae (7-8 days after spawning), the male frequently added fresh bubbles into the bubble mass. As soon as the larvae (18-21 mm in TL) hatched and emerged from the bubble nest, the male sucked them into his mouth. Fifty juveniles (32-37 mm in TL) and two yolk-sac larvae (22 mm in TL) were released from the mouth of a male collected from a natural habitat. Those juveniles were retrieved by the male, some of them voluntarily returning to the male's mouth. The mouthbrooding male frequently performed pumping behavior (i.e., inflating and deflating the buccopharyngeal cavity), thereby acquiring to take fresh air. Eggs removed from the bubble nest successfully hatched only when directly exposed to aeration. In addition, only about 40% of the hatched larvae survived more than 10 days when they were kept in well-aerated water without the male parent. These suggest that both the bubble nest and mouthbrooding are indispensable for successful development and survival of eggs and larvae in this species, which inhabits swamps and paddy fields.
著者
川瀬 良美 森 和代 吉崎 晶子 和田 充弘 松本 清一
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.119-133, 2004
被引用文献数
12

本研究の目的は,成熟期の女性のPMSの実態について即時的な記録から明らかにしようとするものである.成熟期の25歳以上45歳以下の141名の388月経周期について月経前期と月経期に記録された身体症状,精神症状そして社会的症状の合計51症状について検討した.月経前症状の頻度,平均値,最大値からみた主症状は,精神症状のイライラする,怒りやすい,身体症状の乳房の張りの3症状といえた.また特定の人に強く経験されている症状も認められた.対象者の諸属性のうち,年齢グループ別,出産経験有無別,就労形態別で検討したところ,それぞれの属性で有意に高い平均値を示す症状群が認められた.月経前期から月経期への推移について検討したところ,月経前期から月経へ減少または消失するというPMSの特徴を統計的に有意に示す症状は15症状であった.それら症状の相互関連をクラスター分析によって検討した結果,イライラ,怒りやすい,そして食欲増加という選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)に反応するような脳レベルの問題と考えられる症状のクラスターAと,乳房の張り,ニキビができやすいなど卵巣ホルモンが直接発症に関与している症状のクラスターBが見いだされた.また,クラスター分析と属性別の結果から出産経験の有無による相違が認められ,出産経験が症状と特異的に関連していることが示唆された.また,月経前期から月経期へ統計的に有意な増加を示す症状は12症状で,クラスター分析の結果,下腹痛など子宮レベルの問題を背景とした症状と精神症状と社会的症状で構成されたクラスターCが見いだされ,成熟期女性にも周経期症候群(PEMS)の概念で説明できる月経前症状が認められた.以上の結果から,本邦における成熟期女性の月経前症状は,脳レベルの問題,卵巣レベルの問題,子宮レベルの問題を背景として,PMSとPEMSという特徴的な臨床像による2つの概念で説明できる.
著者
豊田 泉 土居 浩 国井 紀彦 林 宗貴 西野 猛 阿部 正 松本 清
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.362-367, 1993-08-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
11

脳血管障害の発生原因には, 各種の要因が存在する.性行為もその一因である.今回我々は, 昭和55年4月より平成5年3月までの, 約13年間に山梨赤十字病院及び昭和大学病院を受診した患者の中で, 病歴上明らかに性行為前後の脳血管障害と考えられる14例を検討した.症例は, 36歳から65歳にわたり, 性別に関しては, 男性13例であり, 女性は1例であった.脳出血8例, くも膜下出血6例であり, 梗塞性病変はなかった.これは, 脳神経外科系における診療データによるものであるからであろう.注目すべき点として, 性行為の相手としては, 3例のみが夫婦間であり, 残り11例は, 愛人関係や, 性風俗従事者との行為である.また, 発生場所に関して, 自宅であることより愛人宅・ホテル及び性風俗施設である.さらに, この中で, 初診時の問診にて, 性行為前後の発症であるということの情報があるものは, わずかに3例だけである.そのほとんどが, 後日, 関係者からの情報より得られるのみである.すなわち, このような症例が実は, 意外と多いことが考えられる.我々は, これらの疾患の発症様式等の詳細な検討を要する時期に来ているのではないかと考えられる.
著者
松本 清二
出版者
橿原市昆虫館
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

我々はこれまでのタウナギの繁殖性態の観察結果やタウナギの食性に着目し、次のような仮説をたてた。タウナギは魚類や水生動物をはじめ多種多様な動物を餌とする捕食者であり、共食いも頻繁に認められている。繁殖期雄は巣を構え訪問してくる雌には求愛するが、接近する雄には激しく噛み付き、それがもとで雄は死亡することもある。また、雄間での共食いも少なからず見られている。このような状況で、もし小型の雄の死亡率(雄間闘争や雄間での共食いによる)が高いなら、小型の時期は雄であることより雌でいることのほうが有利となるかも知れない。死亡率の性差による性転換を予測するモデルも出されている。この小型個体の雌雄での死亡率の差異が、本種の雌性先熟を引き起こす進化要因なのかも知れない。われわれは、タウナギの性転換を説明するために、「雌雄での死亡率の差異仮説」を考えた。本仮説のように小型魚の雄がいない場合,検証のための実験観察の実施は難しい。奈良県下で確認されているタウナギは、個体群毎で性転換サイズが大きく異なる。最小魚サイズの個体群では約30cmの小さな雄がいる一方、最大サイズの個体群では雄は60cmを超える。本実験ではこの特性を利用し、自然状態では共存していない大きさの異なる雄を用いることで実験を行った。水田を仕切った半自然状態の複数の実験池で、これらの大小の雄を入れ繁殖生態、なわばり行動、死亡率,共食いなどを観察した。仮説からの予想は(1)小型雄の高い死亡率と大型雄の低い死亡率、(2)雄間競争により小型雄が繁殖巣をもてないこと、(3)小型雄と同サイズの雌は産卵成功をあげること(4)小型雌の死亡率は高くはないこと、などであった。観察結果は、予想(1)大型の死亡率が10%であったのに対して小型のそれは10%と同様であった。予想(2)で小型雄が巣を持つことはなかった。予想(3)では、繁殖巣をつくった大型雄が2個体と少なく、しかも産卵できたのは1個体であり確認できなかった。予想(4)では、小型個体の性差が等しく著しい結果は得られなかった。この原因は、実験個体の雄が1m近い大型個体を使用した。そのため、広い縄張りが必要となり観察池が小さすぎた。そのため繁殖行動が大型雄2個体でしか観察できず、顕著な行動を観察できなかった。今後、観察池を改善し研究を進めたい。
著者
落合 敏秋 臼井 章夫 松本 清司 関田 清司 内藤 克司 川崎 靖 降矢 強 戸部 満寿夫
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.605-616_1, 1985-12-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
18
被引用文献数
1 2

緑青の主成分とされる塩基性炭酸銅の急性及び慢性経口毒性試験をSlc: Wistarラットを用いて行った. 急性毒性試験で, LD50値は雄: 1350mg/kg, 雌: 1495mg/kgであった. 慢性試験では0, 70, 220, 670及び2000ppm塩基性炭酸銅添加固型飼料を12か月間投与した. 2000ppm群で体重増加抑制 (雄, 雌), 血清GOT,GPT, LDHの上昇が実験期間を通して観察された. 組織学的には, 雌雄2000ppm群で肝臓の単細胞壊死の発現数が有意に増加した. 以上, 塩基性炭酸銅の2000ppmはラットに肝臓障害を起こすものと結論された.
著者
神保 洋之 阿部 琢巳 花川 一郎 国井 紀彦 西野 猛 桑沢 二郎 岩田 隆信 松本 清
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.312-316, 1993-06-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
7

過去3年間に当科で経験したいわゆるyoung adults (15歳~45歳) の, 高血圧性出血を含めた脳内出血20例のうち, 出血原因不明であった5例に対し検討を加えた.年齢は, 15歳から29歳 (平均21.4歳) でいずれも若年者であり, 出血部位は皮質下出血3例, 尾状核頭部1例, 被殻1例であった.治療は開頭血腫除去術を施行したもの2例で, その他は保存的に経過をみた.予後はいずれも良好であった.推察し得る出血原因については各症例ごとに異なっており確定診断を得ることは困難であったが, 様々な観点から出血原因を検討することが必要であると考えられた.
著者
小柳津 勤 下田 満哉 松本 清 後藤 正
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.327-334, 2002-05-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
26
被引用文献数
4 5

茶芽の熟度が緑茶の香気成分の変化に及ぼす影響を明らかにし検討を加えた.茶葉は'やぶきた'品種園から一番茶期および二番茶期において生育初期の極若い茶芽から生育の進んだ極硬い茶芽まで数日置きに17回摘採し,速やかに荒茶製造した.官能検査スコアと中性デタージェント繊維含有率との間には-0.859の高い負の相関があり,茶芽熟度は若芽香(みる芽香)およびこわ葉臭に大きく影響することが認められた.GC分析およびGC-MS分析により128成分が検出され,75成分が同定された.主成分分析の結果,摘採時期による香気成分の特徴的な変動を明らかにすることができた.(E,E)-2, 4-heptadienal, (E,Z)-2, 4-heptadienal, (Z)-2-penten-1-ol, hexanal, (Z)-2-heptenalは,一,二番茶とも摘採初期には含有率が低く,茶芽熟度の進行に伴って含有率が高くなったことから,こわ葉臭への寄与が示唆された.linalool oxide (cis-pyranoid), coumarin, 7, 8-dihydro-β-ionone, (E)-2-hydroxycinnamic acid, heptanoic acidは,一,二番茶とも摘採前期に高い含有率を示し,茶芽熟度の進行に伴って含有率が低下したことから,若芽香や新鮮香など新茶の香りに寄与している可能性が示唆された.linalool, geraniol, linalool oxide (furanoid)は,一番茶で茶芽熟度が進むに従い含有率が高くなり,摘採後期には高い含有率を示したが,二番茶ではその傾向が小さく含有率も低かったことから,こわ葉臭や木茎臭への寄与は小さいと考えられた.(Z)-3-hexen-1-ol, methyl 3-phenyl-2-propenoate, methyl jasmonate, indoleは,摘採時期の影響を受けなかったことから,緑茶本来の香りに寄与する成分と考えられた.
著者
松本 清張
出版者
文芸春秋
雑誌
文芸春秋
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.p92-131, 1980-01
著者
野村 孝一 受田 浩之 松本 清 筬島 豊
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.32, no.12, pp.916-919, 1985
被引用文献数
1 2

電導度検出型糖含量測定用フローインジェクション分析(FIA)装置の汎用化の一環として,リンゴ果汁およびビート汁中の糖含量測定,並びに牛乳の全固形分(TS)含量の測定を試みた。本FIA装置を用いた場合,各試料ごとに専用の算出式を用いることにより全く同一のFIA運転条件下で糖含量あるいはTS含量の測定が可能であった。本法により算出した糖含量は平均0.24%の偏差でフェノール硫酸法により求めた値と一致した。一方,TS含量の測定においてはAOAC法と平均0.19%の偏差で一致する値を与えた。
著者
松本 清二 永井 伸夫 今西 塩一 蓮池 宏一 幸田 正典
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.107-116, 1998-08-25 (Released:2017-05-25)
参考文献数
20
被引用文献数
1

At the beginning of this century, the swamp-eel Monopterus albus was introduced from Korea to an area of Nara Prefecture, located at or near one of the origins of the Kizu, Yamato and Yoshino River Systems. Our samplings were carried out between 1988 and 1997 and information offered by farmers was confirmed that the fish was distributed in the three river systems. Furthermore, a comparison between our results and previous reports clearly shows that the fish has expanded its distribution range. Closer surveys revealed that the fish did not occur at higher altitudes which were isolated from lowland fields providing a habitat for the fish, even though both area were cconnected by rivers. In contrast, it occured in paddy fields on both sides of passes which the fields traversed. The fish seems to be a poor swimmer because of its degenerate fins. These facts suggest that its wide distribution range is due to its high dispersal ability and some extrinsic factors as suggested below: 1) ability to breathe air, which enables it to leave bodies of water; 2) release at or near the origins of the three river systems; 3) abundance of contiguous paddy fields which are suitable habitats for the fish.
著者
佐久間 春夫 松本 清 品冶 恵子 酒井 茉帆 山本 美由紀
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

時々刻々と変化するスポーツ場面で、無意識的に最適方略を選択し、遂行する選手の受動的注意能力の変動状況を明らかにすることにより、瞬間情報処理能力を実現する最適配分のメカニズムを知る為に、注意のタイプ、眼球運動、脳波から検討を行った。クローズドスキル系の注意の「柔軟性欠如」「過度の狭さ」が、オープンスキル系では眼球運動における周辺視野の活用の高さが見出された。さらに注意と意欲について脳波の特徴を見出した。
著者
今井 匠太朗 淺田 義和 伊藤 彰 片野坂 俊樹 白鳥 成彦 高松 邦彦 松本 清 森 雅生
出版者
日本インスティテューショナル・リサーチ協会
雑誌
大学情報・機関調査研究集会 論文集 第12回大学情報・機関調査研究集会 論文集 (ISSN:24363065)
巻号頁・発行日
pp.66-71, 2023-11-19 (Released:2023-11-24)

データの可視化や分析の知識はIR担当者に必要な素養の1つである。効果的な意思決定のためには適切に処理されたデータ分析が重要であるが、このような能力に長けた人材は不足しており、IRの普及を困難にしている。この状況を踏まえ、IRで実践的に利用するデータサンプルを提供し、IRスキルの涵養や質向上を目指すプラットフォームを立ち上げる。データサンプルは合成データを配布し利用可能とする。この合成データに基づいたデータ分析のサンプルや教材の配布、またデータそのものの改善等を集約し、 IR人材の育成とその質向上を目指す。本稿では、プラットフォーム立ち上げの背景からコンセプト、将来構想について論述する。

1 0 0 0 火の路

著者
松本清張著
出版者
文藝春秋
巻号頁・発行日
1983
著者
高松 邦彦 大石 哲也 松本 清 西山 慶太 野田 育宏 今井 匠太朗 伴仲 謙欣 村上 勝彦 岸田 あおい 中田 康夫 森 雅生
出版者
日本インスティテューショナル・リサーチ協会
雑誌
大学情報・機関調査研究集会 論文集 第11回大学情報・機関調査研究集会 論文集 (ISSN:24363065)
巻号頁・発行日
pp.12-17, 2022-11-11 (Released:2022-12-20)

我々は、 “Education”と“Informatics”を結合させた Eduinformatics という学際・融合領域を提唱してきた。また近年、Eduinformatics にもとづいた高等教育における Institutional Research(IR)、Digital transformation(DX)、Information and Communication Technology(ICT)の持続可能性(Sustainability)について、Feasibility-Sustainability Matrix(FS マトリクス)を使用した Feasibility-Sustainability Analytics(FS 分析)を提唱している。本研究においては、神戸常盤大学と東京工業大学の 2 大学における FS 分析の実践を報告し、さらに、IR 業務の持続可能性を向上させる方法を提案する。
著者
川瀬 良美 森 和代 吉崎 晶子 和田 充弘 松本 清一
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学 (ISSN:13452894)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.119-133, 2004-07-31 (Released:2017-01-26)
被引用文献数
3

本研究の目的は,成熟期の女性のPMSの実態について即時的な記録から明らかにしようとするものである.成熟期の25歳以上45歳以下の141名の388月経周期について月経前期と月経期に記録された身体症状,精神症状そして社会的症状の合計51症状について検討した.月経前症状の頻度,平均値,最大値からみた主症状は,精神症状のイライラする,怒りやすい,身体症状の乳房の張りの3症状といえた.また特定の人に強く経験されている症状も認められた.対象者の諸属性のうち,年齢グループ別,出産経験有無別,就労形態別で検討したところ,それぞれの属性で有意に高い平均値を示す症状群が認められた.月経前期から月経期への推移について検討したところ,月経前期から月経へ減少または消失するというPMSの特徴を統計的に有意に示す症状は15症状であった.それら症状の相互関連をクラスター分析によって検討した結果,イライラ,怒りやすい,そして食欲増加という選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)に反応するような脳レベルの問題と考えられる症状のクラスターAと,乳房の張り,ニキビができやすいなど卵巣ホルモンが直接発症に関与している症状のクラスターBが見いだされた.また,クラスター分析と属性別の結果から出産経験の有無による相違が認められ,出産経験が症状と特異的に関連していることが示唆された.また,月経前期から月経期へ統計的に有意な増加を示す症状は12症状で,クラスター分析の結果,下腹痛など子宮レベルの問題を背景とした症状と精神症状と社会的症状で構成されたクラスターCが見いだされ,成熟期女性にも周経期症候群(PEMS)の概念で説明できる月経前症状が認められた.以上の結果から,本邦における成熟期女性の月経前症状は,脳レベルの問題,卵巣レベルの問題,子宮レベルの問題を背景として,PMSとPEMSという特徴的な臨床像による2つの概念で説明できる.
著者
坂井 隆敏 北原 大吉 鳥丸 亮 松本 清
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.1449-1454, 2004-12-05
参考文献数
13
被引用文献数
2

近年,地雷埋設地帯や爆薬製造工場近辺において,爆薬関連化合物による環境汚染が問題となっている.爆薬2,4,6-トリニトロトルエンは,環境中に放出されると2,4-ジニトロトルエン(2,4-DNT)や2-アミノ-4,6-ジニトロトルエン(2-ADNT)などに変換される.これらは,人体に対する毒性や変異原性,発がん性等が危惧され,環境中における濃度や分布状況の把握が急務である.これら化合物の迅速かつ高感度な測定法の確立を目的として,化学発光酵素免疫センサーを構築した.目的物質に対する抗体を作製し,免疫センサーを構築することで,わずか15分の測定時間でおよそ10~1000 ng/mlの2,4-DNT及び2-ADNTの測定が可能であった.相対標準偏差は0.8~7.1%(<i>n</i>=3)と比較的良好なものであった.また,抗原・抗体反応を行う際の流量を低下させることにより,更に高感度な測定が可能であった. <br>